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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
プロローグ2 フェイト・テスタロッサ
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多い方が捗るし、助かる。

「ううん、なんか賑やかな世界だなって思って」

 この世界は魔法文化なんて一つもないのに、魔法がある私達の世界よりも発達したものが多い。

 機械とか、乗り物とか、街の作りとか。

 魔法が存在しないからこそ発達した文明なのかもしれない。

 けど、そんなこの世界で魔法が存在した世界の遺物/ロストロギアが散らばっている。

 理由や原因は分からないけど、母さんが言うからには間違いじゃない。

「ちょっと街を散歩してくるね」

「うん、気をつけてね」

「わかってる」

 滞在期間は長くない。

 けど、この世界の食べ物とか、良いのがあったら母さんにあげたい。

 きっと喜んでくれると思うから。

 そう思って私はアルフと別れ、街に繰り出した。


*****


 私が母さんの頼み事を断らない理由は、母さんに喜んで欲しいから。

 けど、もう一つ理由がある。

 それは、色んな世界を見ることが個人的に好きだったから。

 私の故郷とは違う世界の違う文化に触れると、物知りになったような気分になる。

 勉強が好きな方だったし、こういう刺激が好きなのかもしれない。

 色んな発見、色んな体験。

 良いものも悪いものもあるけれど、やっぱり私は嫌いにはなれなかった。

 だから母さんには申し訳ないけど、こうして色んな旅をさせてもらってるのは嬉しいことだった。

「お母さん、私あれ欲しい!」

 ふと、幼い女の子がその母親と手を繋いで店の前に立っているのを見かけた。

 それは他愛もない、当たり前の光景。

 子供はガラス越しに並ぶぬいぐるみを指差して、母親に甘える。

「ふふ、良い子にするって約束したら買ってもいいわよ?」

「うん、する!」

「それじゃ買いましょ」

「やったー!」

 両手を広げてジャンプする女の子。

 それを見て優しい笑みを零す母親。

 二人は再び手を繋いで、お店の中に入っていった。

 なんでだろ。

 それは当たり前の光景のはずなのに。

 普通の、本当に普通の光景なのに。

 私には遠い、遠いものに見えた。

 ガラス越しに並ぶぬいぐるみみたいに、目に見えるのに手を伸ばしても届かないような……そんな光景。

 私がどれだけ甘えたって、それを許す人はいない。

 だからきっと私には、あのぬいぐるみは手に入らない。

(あれ……なんで私、そんなこと考えてるんだろう)

 本当なら気にしなくていいことなのに。

 たまたま擦れ違っただけの人を見て、なんでこんなに悩んでるんだろう。

 なんでこんなにも、心がざわつくんだろう。


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