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鎮守府の床屋
前編
10.祭だ祭だっ!!(前)
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まみぐい? それはつまみぐいというより失敬というやつではないのか? ありゃつまみぐいで済むものか? 軍ではギンバイって言うんだっけ?

「……ま、まぁいいか」
「えっへん! さすがは一人前のれでぃー?」
「そだね。さすが暁ちゃんだね。一人前のレディーだ」
「パァァアアア!!」

 うーん……なんて素直な暁ちゃん。どこぞの妖怪アホ毛女とは……

「アホ毛がぁあッ?!」

 おっ。久々にアホ毛レーダーが反応してるな。さっさと行こう暁ちゃん。

 球磨のアホ毛レーダーの圏外に逃げるべく、急いで暁ちゃんと共にバーバーちょもらんまに避難した。店についたら、まずは暁ちゃんを散髪台のシートにちょこんと座らせ、暁ちゃんの予定を聞く。

「暁ちゃんは今日は浴衣は着るの?」
「着るわよ」
「どんな色の浴衣?」
「あずき色で、白いお花の絵が描いてあるわ!」
「てことは……んー……牡丹模様かな?」
「あと、この帽子もかぶりたい!!」

 暁ちゃんにとっての思い出の帽子だもんな。そら、肌見放さずかぶりたいよな。今日みたいな日は特に……。

「了解。浴衣に帽子ってのは斬新だけど、髪の方は任せてくれ」
「お願いしますっ」

 その後はいつものように、霧吹きで暁ちゃんの髪をシュッシュしたら散髪。髪を整え終わったところで、一度シャンプーをしてあげる。

「暁ちゃーん」
「なーにー?」
「かゆいところはー?」
「左足の裏の……」
「自分でかいてねー」
「それをするのが一人前のれでぃー!!」

 その後は髪を乾かしてつつがなく終了。……しかし、こんな時まで足の裏か……。

「じゃあハル! またあとでね!!」

 そう言って、髪を整え終わった暁ちゃんは店を後にし、入れ違いで今度はビス子が来た。哨戒任務も無事終了したみたいで何よりだ。

「次は私ね」
「おう、いらっしゃい。ビス子は浴衣は着るの?」
「私は着ないわね」
「あらもったいない。ビス子も似合うと思うけどな」
「そうかしら?」
「うん。ビス子なら似合うと思うけどね」
「んじゃ来年に着てみるわ。……あ、でもね。今年は私、ディアンドル着ようと思ってるの」
「ディアンドル?」

 ん? なんだそりゃ? 初めて聞くな。

「知らない? ドイツの民族衣装なんだけど」
「いや分からんな……実物見れば分かるかも」
「そお? じゃあ楽しみにしててね! そして私の美しさにひれ伏すがいいわ!!」

 そう言って『ふんす』と鼻から水蒸気を吹き出すビス子を見て、ホントにこの前の肝試しの時のビス子と同一人物なのかと疑わしくなった。いやまぁ同一人物なんだろうけど。

「? どうしたの?」
「いや別に」

 その後も散髪が終わる度に隼鷹、川内、加古、
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