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鎮守府の床屋
前編
10.祭だ祭だっ!!(前)
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ちよく眠れるように配慮してやった。しかし加古自身がこのことに気づくことは永遠に来ないであろう。

 一方、さっきまで執拗に俺の背中に張り付いていた球磨も、夢の世界にダイブしてしまったようだ。今は俺の膝を枕にして、気持ちよさそうな顔で眠っている。

「スー……スー……張り……倒ひて……スー……」
「なんでこいつはすぐ俺の膝を枕にするんだよ……」
「プッ……ハルに甘えてるんじゃない?」
「アホ言うなよ。こいつがか」
「うん。ハルといる時の球磨姉はね、なんとなくはしゃいでる感じがするんだよね。いつもハルといると楽しそう」
「そう?」
「うん」

 夜戦に滾る血を抑えきれなくなったのか、いつの間にか川内もいなくなっていた。隼鷹と提督さんはさっき外に出て行ったきり戻ってこない。加古と球磨は就寝中。残されたのは俺と北上。静かな時間は、チクタクという時計の音だけを俺と北上に届けた。

「ねー」
「ん?」
「球磨姉のことよろしくねー」
「なんだそりゃ」
「いつの日か義理の兄になるかもしれない人への、義理の妹からのお願い」
「妖怪アホ毛女なんかに惚れるかいっ」
「そお?」
「こいつだって俺のことおもちゃ程度にしか思ってないだろう」
「二人ともいいセン行ってると思うんだけどなぁ」
「かんべんしてくれ……」

 なんとなく、俺の膝で気持ちよさそうに寝ている球磨の頭に手が行った。そのまま頭を撫で、もふもふの髪を手櫛でとかしてやる。量は多くてコシも強いのに、意外にも手櫛には素直だ。本人もこれぐらい素直ならいいのに……。

「ん……スー……」

 球磨の髪を耳にかけてやる。最近は俺が耳掃除してやってるから、耳もキレイなもんだ。そのまま髪を撫でてみた。こんなに髪は素直なのに、なんでアホ毛が出来るかね……

「ストップ」

 唐突に北上が俺にそう告げた。どうした北上?

「それ以上は球磨姉が起きてて、二人でいる時にやってあげて」

 誰がやるかいこんなこと。球磨だって起きてる時はこんなことしようもんなら張り倒してきそうだしな。

「ハルも球磨姉のこと言えないねー……」
「?」

 よく分からん……でも俺、なんで急に球磨の髪を撫でたくなったんだろうねぇ?

 次の日。提督さんと艦娘のみんなはとても忙しそうだった。隼鷹とビス子の二人は哨戒任務に出て、他のみんなは秋祭の準備に勤しんでいた。

「昨日は提督にあるまじき醜態をさらしてしまったからな! 今日は提督らしく、夜店で大活躍するぞぉお!!」

 提督さんはそう言いながら、夜店で出すやきそばやイカ焼き、わたあめなんかの料理の準備で大忙しだ。宿舎の調理室を覗くと、提督さんが通常の3倍ぐらいのスピードでせわしなく動き回っていた。……お約束だが、別に赤くは
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