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【短編集】現実だってファンタジー
それが君の”しあわせ”? その3
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けにはいかない!もういっそ顔をひっぱたいて――!!)
「悟子と一緒にらぁめん食べるのぉ〜……大じょぉぶ、ここはニンニク抜きも出来るからぁ〜……♪」
「ッ……………」

 ぴたり、と。
 間宵に叩きこもうとしたビンタが止まった。

(間宵ちゃん、私と一緒に食べることまで考えて並んで………)

 普段はまるでこちらのことなど考えていない癖に、既にリサーチで悟子の嫌いなニンニクに関する情報をきっちり仕入れてこの店を選んでいる。間宵はいつも人の事をまるで考えていないようなのに、それでも人を誘う時はいつだって相手も笑顔になれるように考えている。

 そんな純粋な彼女の笑顔を、ここで崩してもいいのか?

「よくないよね……分かったよ間宵。ここは――私が命を賭けてでも護り通す!」

 もうゴリアンヌは2メートル先にまで迫っている。鼻から抜かれた指先には、この世の全ての穢れを集めてもまだ足りないほどに不快感を喚起するハナクソが付着している。あんなものを擦り付けられれば人間は正気を保てないのは自明の理。それでも、悟子は引く気はなかった。

(死んだおじいちゃん、私に力を貸して!!)

 悟子は嘗ておじいちゃんに教え込まれた古武術を思い出し、その両腕をゆっくりと前に出す。

 直後。


「グフフフフ………フゥアッ!?」


 ハナクソダイレクトの準備をしたゴリアンヌが驚愕に目を見開き、足を止めた。

「そ、その構えはまさか……!!」

 両指を引っ掻くように丸め、胸の前で手首を交差させるその構え、さながら牙を剥き出しにした虎の如く。そして放たれる眼光は正に猛獣のそれ。悟子の姿を見たスーツ姿の男が驚愕の声をあげる。

「あれは……西湖滅刀流(さいこめっとうりゅう)獄技――『猛虎の構え』!?なぜあんな若い女の子があの構えを!?」
「知ってるのか、リーマンさん!?」
「ああ……あれは古代中国拳法の流れを汲む究極の拳術、西湖滅刀流(さいこめっとうりゅう)!!その昔、鉄製武器を掲げて攻め込んできたモンゴル帝国に対抗するために自らの指を刃物の如く極限まで研ぎ澄ませた事で完成したと言われている!繰り出される攻撃は一撃一撃が敵の身を引き裂くほどに鋭く、中でも『猛虎の構え』は完全な一撃必殺の技を繰り出すための構えだ!!」

 ゴリアンヌはその構えを知っている訳ではない。だが、同じく必殺の技を持つ存在として、本能的に彼女の構えの危険性を悟った。

 ――ハナクソダイレクトが命中するより前に、あの子の一撃が身を抉るッ!!

「グゥッ………!!」

 戦えば負ける。そう確信したゴリアンヌは、引き下がる他に選択肢がなかった。






「おぉぉ〜〜〜〜!!これが『なかむらぁめん』評判のこってり豚骨のも
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