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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
10 命名『バッテン』
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ん》の弁解(べんかい)を始めた。

「ごめんなさいごめんなさい! 逃げようとしてたわけじゃないんです!」

 つい最近もこんな必死な土下座をした事があるような気がするが、そんな事はどうでもいい。
 額を床にゴリゴリと(こす)りつけ必死に懇願(こんがん)した。

「これには深い訳があって…! 解雇(かいこ)しないでください! 牢屋は勘弁ください! 処刑だけは許してください」

 クビは嫌です。
 投獄(とうごく)は嫌です。
 処刑(しょけい)送りはもっと嫌です。

 想像するだけでゾッとする。
 降りかかって欲しくない未来を予想して、土下座に力が入る。

「(ああ、怒らないでー、どうか怒らない〜! どうか、このまま見逃してー!!)」


 ―――グニッ。


「むぎゅっ」

 僕は何故、か……後頭部を踏みつけられた。

「ちょ」

 鼻が……鼻が床に…頭に体重がかかって、鼻が(つぶ)れる…!?

「ちょ、な……何、するんですか〜〜〜…!?」

 この後頭部に乗せられた靴の形らしき起伏(きふく)の硬い感触。
 二本の内の一本の足を乗せて体重をかけられる圧力。
 それをしてきたのは他の誰でもない……この場において自分を(のぞ)けばただ一人、エルザ姫の足のものだ。

 僕は困惑(こんわく)した。
 頭を踏みつけられる経験は多々(たた)あれど、これほど小柄で重みの軽い踏まれ方をされたのは初めてだった。

「ああ、なんか踏みやすそうな所に頭があったから何となくな」
「〜〜〜!?」

 言葉に出来ない声で困惑(こんわく)する。
 理不尽(りふじん)な理由は理解出来ても、この何となくの理屈は理解出来なかった。
 それも悪意が感じられないのだから尚更(なおさら)反応に困った。

「ま、いっか。 このままじゃ話難(はなしにく)いよな」

 そこでようやく少女の足が後頭部からどけてくれた。
 しかし…もがいたせいで口の中に土に入ってしまったので、自分はしばらく四つん()いの格好のままになった。

「げほっ…んぺっ、ぺっぺっ…あぁ…口がジャリジャリする…」
「なあ、お前傭兵(ようへい)なんだろ。 数日前にお前はそう答えたはずだったよな。 そんなお前がなんでこんな所にいるんだ?」
「うっ…」

 エルザ姫はとても言い辛い話題に戻ってきた。

 そりゃあいくら何でもここに一人いるのは誤魔化(ごまか)しようがない事だ。
 全傭兵が外にいて戦闘に突入したというのに、ここで一人でいるというのは、怖気付(おじけつ)いて逃げた、と思われても仕方ない。

「こ、これはぁ……ちょっとした深い訳が…戦闘中なのはわかるんですけど、このまま
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