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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十八話 三年の月日
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ら俺の協力者にしてやる。
「来年、フェザーンに遷都を行います」
「……そうですか。フェザーンは落ち着いたのですな」
「ええ、問題は無いようです」
「夢が叶うのですな」
「はい」
ボルテックがゆっくりと頷いた。そして柔らかい笑みを浮かべた。
「不思議ですな。遷都のお話を初めて聞いたのは三年前の今日でした」
「そうでしたか」
「ええ、その五日後に十月十五日の勅令が有った……。良く覚えています」
「なるほど、そうでした。もう随分と前の様な気がします。……あれから三年ですか……」
不思議な話だ。俺は三年経ってあの日の答を聞きに来たというわけか。
「あの時の返事をしなければなりませんな。新帝国の閣僚として通商関係を取り扱う」
「協力していただけますか?」
「喜んで」
「有難うございます」
少しの間無言だった。感動は無かった、喜びも無い。ただようやくここまで来た、そんな達成感が有った。
いかんな、未だ終わっていないのに。フェザーンへの遷都と同時に通商省を立ち上げボルテックに通商尚書に就任してもらう。ボルテックには今から準備をしてもらわなければ……。フェザーンという中継国家が無くなった事で帝国と同盟は直接交易を行う事になった。今は未だ旧来のままだが遷都後には直接帝国政府が管理する事になる。商業ルール、商慣習の違いから混乱する様な事態を無くさなくてはならない。そして通貨の統一、これもボルテックに頼む事になるだろう。まだまだ始まったばかりだ。
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