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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十八話 三年の月日
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「まあそうです。こちらとしては出来るだけ混乱を少なくして併合を進めたいと思います。そのためには最低限の信頼関係を同盟政府との間に作っておきたい。同盟政府に暴走されては困るのですよ。同盟だけの問題では済みません、帝国も甚大な不利益を被ります」
「なるほど、そうですな」
「お互い大使を交換しますし人的交流も図ります。しかし何と言っても両国の最高レベルでの繋がりが有れば一番良い。例え帝国政府を信頼出来なくてもその周囲には信頼出来る人間が居る。そこから帝国の真意を知る事が出来る。或いは交渉が出来るとなればかなり違うでしょう」
「……閣下は慎重ですな」
揶揄しているようには聞こえなかった。いや例え揶揄だとしても俺は気にしない。原作を読めばバーラトの和約以降の同盟の暴走、混乱は悲惨としか言いようがない。ラインハルトにとっても想定外の事だっただろう。勿論そこには色々な要因が有る。レベロの判断ミス、オーベルシュタインの暗躍、レンネンカンプの個人的な怨恨、ヤン・ウェンリーの反撃……。
権力者は孤独だ。レベロだけじゃない、ラインハルトも孤独だと思う。オーベルシュタインやレンネンカンプの動きを知れば間違いなくラインハルトは余計な事をするなと二人を怒鳴り付けただろう。だがそうはならなかった。可能性は有ったのだ、ホアンが指摘したのだから。にも拘わらずレベロはラインハルトに接触しなかった……。結局の所レベロとラインハルトの間に信頼関係が無かった事が原因だったと思う。そしてレベロには良い意味での図太さ、図々しさが無かった、生真面目に過ぎるのだ。その事が彼を追い詰めた。
同じミスを犯してはならない。ミスを犯せば何十万、何百万という死傷者が出かねないのだ。その分だけ同盟市民と帝国臣民の間に憎悪が募るだろう。併合が早まってもそれでは意味が無い。それを防ぐためならどんな事でもする。ヨブ・トリューニヒトは今では俺の信頼厚いブレーンの一人だ。憲法の草案作りにも関わって貰うし辺境星域の開発にも関わって貰う。
トリューニヒトも俺の考えを理解して協力してくれている。民主共和政に関しては思う事も有るだろう、これからも俺を説得しようと考えるかもしれない。そういう意味では厄介だ。しかし同盟の暴発が百害あって一利も無いと思う事では俺と同意見だ。帝国と同盟の間に入って十分に潤滑剤の役割を果たしてくれるだろう。帝国に来てくれた事に感謝だ。
同盟市民、いや帝国臣民もトリューニヒトを裏切り者と見るかもしれない。しかしな、ルビンスキーとは違うぞ。私利私欲で帝国に来たんじゃない、自分の信念で帝国に来たんだ。どれほど非難を受けようと自分は未だ同盟のために役に立てると信じて帝国に来た。だから俺が使ってやる。同盟のためでも帝国のためでもない。人類の平和と繁栄のためにな。そして何時か心か
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