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鎮守府の床屋
前編
9.季節外れの恐怖
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ってるんだろう……言ってることが混乱しすぎてる……

「よぉぉおおおおし!! 今晩は夜戦だぁあああああ!!!」

 一方の川内は川内で、窓のそばに立ち、外に向かってなにやら雄叫びを上げている始末……これは安心しろって言う方が無理ではないだろうか……提督さん、やめてもいいですか?

「すまんなハル。まぁ大丈夫だろうとは思う。それに球磨がハルを守ってくれる。危険はない」
「軍人じゃないのに……ぐすっ」
「球磨が張り付いてるから、何があっても大丈夫だクマ」

 妖怪アホ毛女の言葉に心強さを感じる日が来るとは思ってもみなかったな……ちなみに食事後、北上から『球磨姉と二人じゃなくて残念だったねー……』とこっそり言われた。アホかお前……妖怪アホ毛女と二人で夜の散歩なんぞ恐ろしいわ。

 そして今日も、ばーばーちょもらんまはつつがなく開店。開店後しばらくして暁ちゃんや川内、ビス子や北上といったいつもの面子がやってきては、シャンプーの時に足の裏をかくのを催促され、提督さんには髭剃りを頼まれるといういつもの如き営業サイクルをこなし、やがて閉店を迎えた。

 ぁあ、そうそう。ビス子はいつものようにシャンプーでうちに来た時……

『怖くなんかないわよ……この戦艦ビスマルクが恐れおののくはずなんてないわ……ゾンビとか妖怪の類が出てきても怖くなんかないわよ……一反木綿なんかこわくないわよ……しょうけらなんてただ覗いてくるだけじゃない……あずきあらいなんてただ小豆を洗ってるだけよビス子……』

 とうわ言のように呟いていた。顔も朝と動揺真っ青だったのが、見ているこっちも不憫になってきた……それにしてもその日本の妖怪の知識は一体どこで身に付けたんだか……。ついでに言うと自分のことを『私』ではなく『ビス子』と呼んでしまっていた。どれだけ余裕がないんだ……。

 そしていつものように閉店後は球磨と北上がやってきて、一緒に夕ごはんを食べ、時間まではみんなと食堂でだらだらとおしゃべりし……ついにその時がきた。夕食後しばらくして、俺と球磨、川内とビス子の四人は、提督さんの待つ執務室に向かった。

「うし。時間だな。では四人とも、よろしく頼む」
「「了解!!」だクマッ」
「ハル、三人を頼む」
「了解っす」
「球磨、ハルを頼むぞ」
「任せるクマ」
「川内、ビス子、期待してるからな」
「了解! 夜戦なら負けないよッ!!」
「ぬぬぬぬぬりかべが出てきたらおいおい払ってあげげげるわよわよこのビス子がが!!」

 ビス子の様子を見て、俺は不安しか感じなかった。

 執務室を出発した俺達は、そのまま艦娘たちの居住区域になる宿舎に向かい、その裏口から外に出る。裏口から出ると、そのまま林につながっており、俺達四人はそこから林に侵入する。すでに時間は
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