第1章始節 奇縁のプレリュード 2023/11
3話 剣の櫃堂
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を刺せってことかしら?」
戦勝祝いもそこそこに、目下の課題であるダンジョンの鍵へと論点は戻る。モンスターの武器である筈だった巨大剣が残っていることからも答えは明白なのだが、それを行う手段がない。とても忌々しい事態だ。
「とりあえず、二人で持ってみましょう? きっと動かせるから」
「いや、無理じゃないか?」
「いいからやる!!」
「……へいへい」
意見があれば即実行とばかりに、グリセルダさんに引っ張られて剣を運ぶことに。
しかし、俺が持ち上がったとしても発案者であるグリセルダさんのSTR値が足らず、片方だけしか上がっていない。その後、グリセルダさんは数分は粘ったのだが、パラメータの数値がプレイヤーの力を決定している以上はそこに気合や根性といった不思議パワーが介入する余地などある筈もなく、結果としてグリセルダさんが不機嫌になっただけだった。凄まじくむくれてしまった。
「………もう、重いんだったら割って運びやすくしちゃいましょう。スレイド君、石像の頭を割ったあのパンチをお見舞いしてやりなさい!」
「八つ当たりするなって誰が言ったんだよ。しかも他力本願ってどういうことだ」
「私は大人だから良いの!!」
「冷静になれ。本当に壊れたらクエストどころじゃなくなるだろうが」
「先っぽだけあれば大丈夫です!」
大人ってなんだろうか。それこそ真理を探究せざるを得なくなりそうな命題を垣間見たものの脇へと押しやる。だが、このまま剣を運べなければどのみちクエストだって進展はしないだろう。根拠こそないが、グリセルダさんの意見を尊重して鋒だけ残すべく、刀身の腹を目掛けて再び《鉄穿》を撃ち降ろす。それなりの厚さのある剣ではあるが元来の材質は石であるためか、呆気なく真っ二つに折れてしまう。柄側の部分は消失してしまったが、本当に必要な部分だけはしっかりと残ってくれたので良しとする。しかし、残った部分だけを台座に納めてみたものの、何か仕掛けが動いたような様子はない。
「……や、やっぱり、壊しちゃったのはマズかったかしら?」
「だから弱気になるなよ。こんな形で失敗するくらいだったら始めから剣が消失してるだろうが」
相も変わらず、いざという時に小心者になるグリセルダさんに呆れながら、苦肉の策を講じることとした。要は巨大剣の《失った残りの部分》に対応するようにアクションを取ればいいのではなかろうか。
「グリセルダさん、ちょっと剣の上に乗ってみてくれ」
「え、ここに? ……良いけど」
グリセルダさんはどこか不安そうな返答を残しつつ残った刀身に飛び乗る。
そして、機械的な何かが噛み合う音が地下で鳴り、剣の鋒もグリセルダさんを乗せたまま沈み込むと、石像が鎮座していた石の舞台が左右に分
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