第1章始節 奇縁のプレリュード 2023/11
3話 剣の櫃堂
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それは、新たに現れた赤いカラーカーソルとHPバーによって完全にモンスターたらしめられてる。
その名は《Exist Statue Gatekeeper》
《生きた石像の門番》ということだろうか。瓦礫を乱雑に踏み潰しながら猛然と歩み寄りつつも、台座だけは丁寧に迂回するところを見ると、やはり何かしらの意味合いはあるのだろう。というよりは、既に答えが動き出したようなものなのだが。
「オブジェクトがモンスター化するって、反則じゃないかしら………」
「でも、突然湧いて出たわけじゃないんだ。文句は言えないだろうさ。とにかく、特殊な攻撃はしてこないだろうけど、あの剣の一撃が怖いからグリセルダさんは距離を置いてくれないか?」
「スレイド君だけで戦えるの?」
「あのくらいなら大丈夫だと思う」
「じゃあ、遠くから応援してるわね!」
カラーカーソルの色調から鑑みて、レベルは大して高くはないようだ。それでもあの剣を軽々と装備しているのだからSTRはかなりの数値であることが予想される。十分に対応できる攻撃速度だったし、何よりもモーションが大振りだ。おまけに脛を攻められた憎悪か、ヘイトは完全に俺に向けられている。苦慮する相手ではないだろう。
歩幅の大きさもあって至近距離に迫った石像の剣士は、こちらを睥睨するも間もなく大上段に構えて振り降ろす。しかし、何の捻りのない一撃は威力こそ圧巻だが、回避には事欠かない。身体を逸らせれば通り過ぎるし、重過ぎる攻撃はほぼ確実に《硬直》を強いられる。本来ならば様子見を繰り返して攻撃パターンを把握してから反撃に移るという流れが理想的なのだが、武器を持つ腕がガラ空きである以上は隙を突かせてもらうことにする。
「シィッ!」
鋭く空気を吐き、右の肩口に走る接合部を目掛けて繰り出した《バーチカル》は吸い込まれるように継ぎ目の線を捉える。衝突時に木霊した金属音が周囲に鳴り響き、小鳥が慌てて逃げ、石畳に重い衝撃が駆け抜けた。接着剤らしき黒いゲルが糸を引きつつ、ものの見事に右腕が外れたのである。しかし《部位欠損》にしては違和感のある光景だ。腕を破壊したというのに、石像のHPは一割も削れていない。恐らくは斬撃属性のダメージが徹りづらいのかもしれないが、それは些末な問題に過ぎない。真に注視するべきは切断した腕にある。
SAOにおいて、切断された四肢は間もなくポリゴン片となって消滅するのだが、剣を握ったままの右腕はいつまでもそこに在り続けているのだ。やはりキーアイテムである剣が握られたままだと消失しないのだろうかと推論を巡らせるうち、なんと石像は屈んで《切断した右腕》の肩を左手で掴み………
――――そして、《横薙ぎ》が繰り出された。
やや度肝を抜かれてしまっ
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