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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章始節 奇縁のプレリュード  2023/11
3話 剣の櫃堂
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………」


 なんというか、コンクールの最優秀賞とかの受賞者に贈られる記念盾みたいなオブジェが出来上がってしまった。おまけに台座の大きさと盾のサイズとデザインのバランスがマッチングしていなかったこともあって、かなりお粗末な結果になってしまっている。当然、哀愁さえ感じる石座は何かしらのギミックを起動させることもなく、黙して盾を収めるだけだ。ただただ空しい光景である。


「………ダメね」
「まあ、そうだろうな」


 やや肩を落としつつ、グリセルダさんは盾を引き抜く。
 しかしながら、これをギミックとするならば、何かしらのキーアイテムを捜索しなければならなくなるのがRPGの定石というものだろうか。SAOというパッケージがどこまで王道を踏襲しているかは俺の知るところではないが、それでも一つの方向性として台座の可能性を信じても良さそうだ。
 だとすれば、ちょうど台座を見下ろすように鎮座する石像に何かしらのヒントか直接的なキーアイテムが隠されているような気がする。何の捻りもない初歩的な発想ではあるが、手にした剣は理想的な形状である。ただ、これだけの大物を運べるに足るステータスであるか、俺は少々心許ない。これがあの男の言っていた試練というものなのだろうか。STR値が一定値に達していなければ開かれないダンジョンというのも斬新ではあるが、試さない事には成否さえ判ぜられないままである。


「それ、持ち上げるつもり?」
「無理なら他を考える」


 (ひざまず)く石像の膝に立ち、巨剣の柄を全力で持ち上げる。
 やや聞き苦しい呻きを多分に漏らしているが、グリセルダさんは気にする様子もなく、しかし何か期待しているような視線だけを向けてくる。僅かに刀身が浮いた感触こそあるもののそれ以上の進展はない。あくまで体感での意見だが、STR一極振りのプレイヤーであれば持ち上がる可能性があるように思える。しかしながら運ぶというならば話は変わってくるだろう。現状において、プレイヤーの手による正攻法で台座まで運ぶというのは非常に難儀な問題だ。そうと分かれば早々に断念。グリセルダさんが無言で肩に手を置いてきたが、敗北感に苛まれそうなので真意を追求するのは止しておこう。

 では、もっと現実的な手段で行くならば、他のプレイヤーに応援を要請するという手が考えられる。
 だが、ヒヨリとティルネルはクーネ達の下で活躍中だ。せっかく期待されて出向いているのだから邪魔をするのも憚られるし、《片翼の戦乙女》の今後の在り方を左右する重要な時期なのだ。無粋な横槍は避けたいところである。なによりAGI特化のヒヨリには無理難題だ。
 アルゴも、クエストの話をする場合は検証が済んでからという暗黙の了解がある。情報屋として東奔西走する彼女に時間を割かせるのも、実に心苦
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