33.改造屋
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アポもとってないし!」
「そこはそれ、非常時だしギルド権限で押し通せるでしょ」
ぱちっとウィンクして早速立ち上がるアズにトローネは慌てた。
「ももも、もしそのブロッケさんが事件に関係なかったらどうするんですか!もっと裏付け調査をしてから行きましょうよ〜!」
というか本音を言えば殺人犯候補に自分から近付きたくないというのがトローネの意見なのだが、一応は冷静な観点から見ても彼女の言い分は間違っていない。
まだ被害者の『改宗』後の動向や関わった事件について調査が全然終わっていない。それに、まだウルカグアリ・ファミリア全員の経歴はチェックしていないので容疑者も被害者候補もまだいるかもしれない。アズの行動はどう考えても早計だ。
だが、アズはそんなトローネの手をがしっと掴んでにへら、と笑った。
「なーに言ってんの、それこそウルカグアリ本人に聞けばいい事じゃん。神様は記憶力いいからね〜……かつてのファミリアの『改宗』先も把握してるだろうし、人間関係だってギルドの資料以上にバッチリ!こと自分のファミリアなら忘れてることはまずないさ!」
「ううっ、それはそうですけどぉ……」
「だいたい、被害者7人が一堂に揃ったファミリアだよ?ぶっちゃけこれ以上の共通項なんて見つからないと思うよ」
「それもそうですけどぉぉぉ〜〜〜……!」
アズはトローネの手を離す気配がまったくない。その姿はまるで友達と一緒に遊びに行きたい子供の様だ。既に危険な場所に飛び込む気満々の冒険少年の眼をしている。
「そっそうだ!調べ事はお外で働いてるヨハンさんたちに任せましょう!ねっ!?」
「事情を調べた俺達が直接言った方が面倒が無くていいと思うなー」
「か……神様も実はブロッケさんとグルかもしれません!きき、危険です!危険な場所に冒険者を同行させる訳にはいかないなー!ああ私ったらなんて心優しいギルド職員なのでしょう!そう、アズさんのためなのです!!」
「大丈夫大丈夫。俺、護衛に関してはこの街で一番の自信あるから!」
「自信過剰っ!?」
グッと親指を上げて誇らしげにアピールするアズ。やっぱり手は離す気配がない。いよいよを以って逃げ道がなくなってきたトローネは焦って何事か言い訳に使える言葉がないか耳をパタパタさせて考えるるが、残念なことに高学歴で将来有望な彼女の頭脳を以てしても適切な答えは発見できなかった。
そして、とうとう袋小路に追い込まれた哀れな子犬に、死神の毒牙が迫る。
「君は死なないよ。俺が認めさせない。例えそれが神の裁定であろうとも――『告死天使』の名に賭けて、君の為に運命を覆して進ぜよう」
それは超越存在が人々を愛しむときに見せる、儚くも美しき微笑み。
この人になら自分の命を任せていい―
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