33.改造屋
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クリに気付いてきたんです。更に、他の職人が作った剣に後から手を施す商法が鍛冶ファミリアからいたく顰蹙を買いまして………」
後は簡単だ。メリットよりデメリットが多いと知れれば冒険者たちは夢から醒めたように離れていき、流行に乗って改造屋になった連中は目論見が外れて大コケ。改造のビジネスは一過性の流行として時代の流れに掬われて彼方へと消えてしまった、という事だろう。
「一応、今も少数ながら『改造屋』はいます。この人達は耐久力を落とさない『改造』の施せる腕利きの職人さんで、少ないながらきちんとした需要があります」
「つまり、このアルガード・ブロッケさんもその時代の職人さんの生き残りって訳だ……」
アズとトローネは顔を見合わせて、再び経歴書類を見て同時に呟く。
「40代になってこの童顔……流石は小人族だな」
「恐怖のロリショタ種族は伊達じゃないですね……」
そこには、年端もいかないようなあどけない顔をした少年の写真が張り付けられていた。
「俺も友達に小人族何人かいるんだけど、もう年齢わっかんねぇのよ」
「いっそサギの域ですよねぇ……私も初めて小人族にあった時なんかもう……」
どう考えても重要なのはそこではないのだが、残念なことにこの空間はツッコミ不在だ。しかし二人は少々天然であっても当初の目的を忘れるほど仕事が出来ない性質でもなかったのが幸いか、脱線は直ぐに修正される。
「……っとと、それよりブロッケさんだ。この人、被害者7人と同時期に『ウルカグアリ・ファミリア』にいたらしい。ブロッケさんは未だにここのファミリアの一員みたいだね。レベルは2、現在は個人的な工房で改造、鎧、装飾品を中心に作成している……と」
「確か、去年の決算書での売り上げはボチボチだったと思います。少なくとも然程お金に困ってはいないかと」
「ファミリアに所属してるんなら話は早い。一旦ヨハンさんの所に寄って話を伝えてからウルカグアリに会いに行こう。ファミリアの長ならブロッケさんと被害者の人間関係も知っているかもしれない。それに………」
アズはポケットから小さな箱を取り出して、その中に入っているものを摘まみ上げた。
「装飾品を作ってるんなら、こいつと関係があるかもしれない」
それは、ブラスが現場で目ざとく発見していた現場の異物――千切れた鎖らしきもの。今のところの読みでは、この鎖こそが被害者を襲った魔道具の一部である可能性が高い。ファミリアの道具作成名簿や動向によって犯人を絞り込む手掛かりになる筈だ。
「じゃ、早速いこうか。ブロッケさんは7人を殺した犯人の可能性と、真犯人による8人目のターゲットにされる可能性の両方があるからね」
「ええっ!?け、決断早すぎません!?それに
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