暁 〜小説投稿サイト〜
俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
33.改造屋
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ノリ悪い〜……本当にオーネストそっくりなのね」
「よく言われる」

 ふざけた態度でテーブルに突っ伏しながらペイシェはメモの精査を続ける。だが、その目はルスケをからかう時とは比べ物にならないほどに真摯な眼差しだ。真実の一つ、情報の一かけらも見逃さないように一つ一つを確実に、そして手早くこなす様は、ひとつの道に全てを注ぐプロフェッショナルの姿勢に他ならない。このボサボサ髪の女性の情報に対する熱意の差が垣間見えた瞬間だった。

 今日は、本当に人間のいろんな側面が見える日だ。そう思いながらぺらりとメモをめくったレフィーヤは、そこで気になるものを発見した。

「ええと、『北街のアルガード・改造屋・料金徴収時に注意』……?なんですかこのメモ?」
「ああ、それは多分新聞の購入代金を徴収するときのメモだと思うわよ。おかしいなぁ、資料をかき集めた時に紛れ込んだのかな?」
「じゃあこれは関係ないってことですね……」
「待て」

 ブラスの眼光が、レフィーヤの発見したメモに向いた。

「『改造屋』と言ったな?……『改造(カスタム)』は魔道具の作成に似た性質のある職人技だ。『神秘』のアビリティを持っているかもしれんぞ」



 = =



「――改造(カスタム)というのは、20年ほど前にオラリオで一時期流行した技術です」

 『ウルカグアリ・ファミリア』所属、アルガード・ブロッケという男の備考欄に書かれた『改造屋』という聞き慣れない言葉。こういう時に説明をしてくれるオーネストのいないアズは、トローネの知恵を借りていた。
 二人とも床に落ちたその資料が気になって、床に座り込んだままだ。

「それで、改造ってのは具体的に何をする技術なのかな?」
「既存の装備に特定の素材を化合してポテンシャルを引き延ばしたり、デザインを変更したり、オプションパーツを付け足したり……という技術です。一時期はかなり流行したのですが、色々と問題が多くて直ぐに廃れてしまったそうです」
「と言うと?」
「たとえば改造で剣を強くすれば一から剣を作るより遙かに安価で強化できます。でも、それって結果的には一度完成させたものに混ぜ物をするってことですよね?だから、改造で強化した剣はその殆どが耐久力が落ちてしまうんです。デザイン変更やオプションパーツも所詮は後付けである以上、やはり耐久力に難がある……という具合でして」
「つまり、威力は上がるけど耐久力が落ちてるからすぐ折れると。そりゃ長期戦が前提のダンジョンではマズイなぁ」
「そうなんですよ。……最初は欠点を知らない冒険者の皆さんも面白がって改造を施していたみらいですけど、改造すればするほどに耐久力は落ちてあっさり壊れてしまう。すると新しい剣はさらに強くしようとして改造に……としているうちに、改造のカラ
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