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衛宮士郎の新たなる道
第15話 VS血斧王
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エミヤと特有の詠唱後、空いている手に尖端がドリル状になっている投影品を顕現させた時と同時にそれは起きた。
 自分に完全に背を向けていたはずのバーサーカーが突如として後ろ――――つまり、凶暴化した眼光をぎらつかせながら此方に振り向いたのだ。
 これには士郎も僅かに動揺して驚いた。
 生前の戦場で輝かしい武勲を上げてきた英霊なら直感などを働かせて気付く事もあるだろうが、この英霊は通常の七騎の内、最も直感に縁がない、或いは直感を働かせられなくなるクラスのサーヴァント、狂戦士(バーサーカー)である。
 そんな英霊が、それなりの距離があり尚且つ完全に視界に入っていない自分へと一切の間違いなど無く向くなどと、驚かない筈がない。
 とは言え、士郎のやることに変わりはない。
 既に準備は整っており、後は真名解放と同時に矢を解き放つだけ。

 「――――偽・螺旋剣(カラドボルクU)!?」

 しかし解き放たれた直前に、バーサーカーは自身の持つ盾を士郎の解き放つ贋作改造宝具目掛けて、投げつけて来たのだ。
 とはいえ偽・螺旋剣(カラドボルクU)のランクはAだ。
 それを盾で防ぐとなれば、英霊自体が手に持って使いつつ踏ん張らなければ防ぎきれないモノだ。
 故にその程度では止められず、宝具に当たった瞬間バーサーカーのラウンドシールドは砕け散った。
 けれど若干だが速度と威力も落ち、時間稼ぎにもなってしまった。
 その間にどす黒い斧に禍々しいオーラをため込んでいたようで、威力と速度の落ちた偽・螺旋剣(カラドボルクU)に向けて跳躍しつつ、体全体で回転しながら叩き落とした。

 「オォオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 その様はまるで、生前の嘗てに王位に就くために兄弟たちを皆殺しにした血斧王さながらだ。
 故にこの宝具の名は血塗れの戴冠式(ブラッドバス・クラウン)である。
 宝具と宝具のぶつかり合いにより、衝撃波と共に広範囲の土煙が舞い上がる。
 その中で士郎は経験則としてその土煙の中から脱出し、即座に自分の方に向いていたバーサーカーとは逆側から投影した黒鍵をバーサーカーがいるであろう地点に投擲した。

 「・・・・・・これでハッキリする筈だ」

 士郎の視力はこの世界に来てからさらに強化されているので、土煙の様な常人では視界が役に立たない状況の中ですらもよく見えるのだ。
 故に士郎はバーサーカーが今も直、背を向けていると分かった上で投擲したのだ。
 そしてバーサーカーは、土煙の中で自身の宝具の発動による反動で動きを鈍くしている所、ある指示――――具象奇体たるバーサーカーの妻のグンヒルドが、ガイアによって強制される命令に無理矢理従わされた上で、またも振り向いてから宝具である斧――――血啜の獣斧で撃ち落とした。
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