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SAO オンラインゲームの中で拳闘士は生き残れるのか?
日本の英雄
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 そんな時、動きがあった。

 「くくく、なあちょっとくらい良いよなァ・・・」
 「い、いやぁ・・・」

 女性店員を押さえつけている男が、彼女の服を肌蹴させようとしたのだ。
 首に刃物を突きつけたまま、空いたほうの手でブラウスを引きちぎる。
 一気に何枚か破られ、下着が露わになってしまったが、女性店員は恐怖の余り抵抗も出来ていなかった。

 「おい、やめとけって」
 「あア?なんだよタク。じゃまするってか?」
 「兄貴、レンさんは余計なことをするなって言っただろ」

 拳銃をこちらに突きつけていた男が、刃物の男の行動を嗜め始めたのだ。
 どうやら人質は怯えているから抵抗しないで居るだろうという、楽天的な思考が働いているようだ。

 (しめた。あとは、あの男だけだが・・・)

 リーダー格の男も、チラリとこちらを一瞥したが何も行動を起こさずレジを漁る。
 金銭を見つけて、袋へ流し込んでいる最中だ。幸いこの店のレジは何箇所かあり、少し離れなければいけなくなっている為、リーダー格の男は30mほど離れている。

 (行動するなら、今がチャンス!)

 そう判断した樹は速かった。
 即座にメガネを取り、地面へ置く。ジャケットを脱ぎ捨て、音も無く飛び出した。
 そして、一直線に拳銃の男へ迫り、横合いから勢いと全身の体重を込めた右ストレートを打ち込む。

 ぐしゃり。嫌な感触が右拳を包む。それは骨が砕けた感触だった。

 「───!??」

 声もなく、突然の衝撃に耐え切れなかった男は白目を剥き、殴られた勢いのまま棚へ倒れこむ。
 刃物の男が気が付き、立ち上がりながら樹へ刃物を突き出す───。

 「お、おらァ!!」

 下から斜め上に突き出されたそれは、アッパーの軌道に似ていた。

 (左斜め下から、軌道は直線、顔面狙い。対処は──)

 右拳をすぐさま戻していた樹は、刃物の軌道を見てもあわてなかった。視界の端で、リーダー格の男がこちらへ気が付き戻ろうとしているのも見えた。
 だからこそ、この一撃で眠らせる。その算段で、樹は刃物の内側に入り込むような左ストレートの打ち下ろしを決める。

 「ぐべっ!?」

 カウンター。立ち上がる勢いを利用しながらの突きを、体重を込めた打ち下ろしでカウンターを取られた刃物の男は一瞬で意識を刈り取られた。ついでに、鼻面をモロに食らったので、鼻の骨と顔面が骨折している。

 人質は何が起きているのか分からなかった。突然自分達の後ろから飛び出した男が、瞬く間に二人の強盗犯を殴り倒したのだから。ただ一人、少年だけは目を見開いてその光景を逃さず見ていた。

 「くそがっ!」

 リーダー格の男が、走り寄ってくる。20メートル。銃で撃てば
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