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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十七話 飴と鞭
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。既に二人の間では決定事項か。一体どんな憲法を創るのか……。

「安心してください、ゲルラッハ子爵。皇帝主権は変わりません」
「……そ、そうですか」
ギョッとした。心の中を読まれたのだろうか。元帥がじっとこちらを見ていた。冷たい視線ではないが気圧されるような気がした。喉が干上がる、唾を飲み込む音が大きく響いた。元帥の口元が微かに緩んだ。

「民主共和政も取り入れません」
「は、はい」
リヒテンラーデ侯が笑い出した。如何して笑えるのか? 恨めしかった。政治面で待遇を保証しつつ経済面で抑え付けて従わせるか。飴と鞭そのものだな。今後の同盟対策は硬軟両用という事になるのだろう……。リヒテンラーデ侯とヴァレンシュタイン元帥を見た。この二人の飴と鞭か、同盟も大変だと思った。





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