22.朝霧の君
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身長が高く、どこか大人びた雰囲気を持っていた。大人との剣術訓練でも怯まず正面から突っ込んで凄まじい体裁きを見せ、マナより先にダンジョンで冒険し、帰ってきたらダンジョンでの話を聞かせてくれる。
勇敢で大人で、自分より2歩も3歩も先を行く姉貴分にマナが憧れという感情を抱くのに、それほど時間はかからなかった。
ココは13歳という若さで冒険者となり、早くもその頭角を現した。ダンジョンに入って僅か1週間で1層の魔物の特徴と行動パターン、ドロップするアイテムや階層の構造などを完全に理解したうえで出現魔物を1撃で葬れるようになる。翌週は2層、翌々週は3層……初心者のためにと付き添っていた大人もココの恐るべき順応の早さに舌を巻いた。
「ココは戦いの天才だ……初心者殺しのアリ共なんぞ、俺のアドバイスも無しに半日で最適解を見つけやがった」
「このままだとランクアップの最速記録を塗り替えるんじゃないか?」
「来週からはもう10層に入るんだってよ。ステイタスも凄い勢いで伸びてるし、このままだとあっという間に俺達に追いつくぞ?」
大人たちは口々にココを称賛した。ココもそれを誇らしく思っていたが、彼女は決して増長や慢心を見せずにいつも通りの姿勢を通していた。マナも彼女の成長を自分の事のように喜んだ。自分も13歳になったら魔法を極めて活躍するのだと意気込んだ。
――それが今では毎日素振りをしているのだから、不思議なものだ。
「………92っ!93っ!94っ!95っ!」
最初の頃は20を数える頃には腕が上がらなくなっていたが、数年の鍛錬のためか今では100回に届くようになっている。もっともこれは基礎的な部分であり、レイピアを使うマナにとっては余り使う機会がないものだ。
最初はココと同じ剣術を目指していたが、数か月もすると「向いていない」という根本的な課題が浮上した。それに際して訓練内容も変わっていったのだが、素振りはなんとなく続けている。たぶん、素振りをしている時のココの姿に憧れてるんだろうと思う。
それに、「今は」使う機会がないだけだし。
と、聞き慣れた声が近づいてきて、マナは素振りの手をいったん止めた。
「いやぁ、お待たせ!素振り何回目ー?」
「丁度100回に届いたところ!さぁ、身体があったまってきたよ〜!」
「今日もやる気マンマンだね。そんじゃあ、早速稽古始める?」
「お姉ちゃんはウォーミングアップしないでいいの?」
「ストレッチと素振りしながらここまで来たからダイジョーブ!」
マナの脳内で不思議な踊りを踊りながら猛スピードで早歩きするココのイメージが横切っていく。時には激しく、時にはしなやかに踊り狂いながら一定速度で進行するココの姿はシュールすぎて爆笑必至。不覚にも想像してしまったマナは速や
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