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気持ち
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「ごちそうさま、美味しかったよ」

「どういたしまして」

「ゲツガ君ってアスナみたいに料理スキル上げてたんだね」

「ああ、少しでも美味しいものとか食いたいからな。それに、なんていうのかな。現実でもやってたからか、こっちでもやってないと落ち着かないというか」

 そう言った後、ユキが聞いてくる。

「ねえ、ゲツガ君。失礼かもしれないけど、聞かせてくれる。現実世界のこと……」

 しばらく考える。特に名前とか出さなければ問題ないだろうと思い話し始める。

「いいぞ。あんまし面白くないけど。……俺の親は、今は母親しかいないんだ。親父は俺がまだ五歳の頃、俺をかばって交通事故で死んだんだ。その時の約束は今でもはっきり覚えてる。俺はその言葉どうりに今まで頑張っていたんだ」

 少し暗い話しになってしまったなと思う。

「ごめん。軽はずみに聞いちゃって」

 やはりユキは頭を下げて謝ってきた。頭を上げるように言って、他の話に変える。そのあと、普通に現実世界ではなくこの世界での世間話などで花を咲かせた。

 時刻が九時を回るとユキはそろそろ帰らないとと言ってから立ち上がる。

「こんな時間に一人歩きは危ないから送ろうか?」

「ありがとう。じゃあ、お願いするね」

 そして家から出て、ユキを《セルムブルグ》まで送る。転移門まで来てから、ユキはここまででいいと言ったので、転移門の前で立ち止まる。ここで別れるのかと思うと、胸のどこかが淋しく感じた。

「今日はありがとね。家にまで行って、ご馳走までしてもらって」

「いいよ、俺も久しぶりに二人で食事したから楽しかったし。もしも、また食べたくなったら来いよ。いつでもご馳走してやるから」

 なぜだろう、ユキと話していると自然と言葉が出てくる。

「じゃあ、また今度またご馳走させてもらうわ」

「いつでもどうぞ」

「じゃあね、また今度」

 そう言ってユキは転移門で《セルムブルグ》に帰っていった。家に帰ってる道でこの気持ちはなんだろうと考えていた。ユキを考えただけで胸が熱くなる。そして家の前についてその答えを導き出した。

「そうか……俺、ユキに惚れてたのか……」

 上を向いてそう呟く。しかし、自分は人を殺めた。俺のような奴と一緒にいたいと思うだろうか?そんなことを考えてしまう。それだったら自分から離れていくいいだろう。だからこの気持ちはずっと胸の中に閉まっておくのが一番だ。そう思い、家に入って眠りについた。
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