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鎮守府の床屋
前編
7.提督だったら……いいよ
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 今晩は二人の襲撃がほぼ同時か。しかも隼鷹が半分寝てる加古を引きずってやがる……それにしても、久々に手応えのある一日だった。散髪で艦娘のみんなが喜んでくれることはうれしいが……明日から新たなサービスとして耳掃除も取り入れてみることにしよう……今晩はいい酒が飲めそうだ。

「あ、そういや今晩球磨と北上は?」
「あの二人は深夜の哨戒任務だよ」
「私も夜戦がしたかったッ!!」
「私はぁ……自分のぉお……部屋で……寝かせ……クカー……」

 隼鷹もえげつないことするなぁ……加古はココに来るヒマがあったら寝たかっただろうに……しかし球磨がいないのは残念だ。改めて耳掃除の感想を球磨に詳しく聞いてみたかったが……まぁ明日でいいか。

「加古、とりあえず寝てていいから。クッション貸しちゃる」
「サンキュ……ハ……クカー……」

 加古は夢の世界へログインしていった。一方、毎度のごとく夜戦夜戦と騒いでいる川内を尻目に、隼鷹が何やら妙な眼差しでニヤニヤしながら俺のことを見ていた。

「ん? なんだよ隼鷹?」
「んー? なんでもないよ? ニヤニヤ」

 なんでもなくはないだろうその顔は……と思ったが、突っ込んだらなんだかメンドクサイことになりそうだったので、突っ込みたくなる衝動を必死に抑えた。

 そして翌日。朝一で『髭を剃ってくれ』とやってきた提督さんに、耳掃除のことを話してみた。ほんのり酒臭いのは、昨日酒盛りしたからか? 一人で飲んでるのならうちに来てもいいだろうに。隼鷹やら川内やらにぎやかグループてんこもりだよ?

「そういや提督さん」
「んー?」
「今日からうちの新サービスで、耳掃除をやってみることになったんすよ」
「ほう。興味あるね」
「髭剃りのあと、やってみます?」
「そんなに汚れてはないだろうけど頼むよ」

 というわけで、正式サービス開始後のお客第一号は提督さんとなった。髭剃りとシャンプーを済ませた後、提督さんを散髪台に座らせ、リクライニングを限界まで倒し、提督さんの耳の中を観察する。確かに耳垢があまりなくて、キレイなものだ。奥の方にすこーしだけ湿った黄色い耳垢が見える。

「キレイなもんすね提督さん。湿ってるな……猫耳なんすか?」
「なんだそのかつての萌えキャラの標準装備。……俺に萌えてるの?」
「いや、耳垢が湿ってるタイプの耳のこと猫耳って言いません?」
「初耳だなぁ」
「そうっすか……最近耳掃除しました?」
「あー……一昨日に……隼鷹が……」

 あー……なるほどね。隼鷹が酒盛りしたあとも律儀にキチンと帰るのはそれが理由か……。提督さんを見ると、ほんのり顔が赤い。

「なに照れてるんすか」
「べ、別に〜」
「んなことでからかうなんて思春期なことしませんよ」
「うちのみんなが
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