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鎮守府の床屋
前編
7.提督だったら……いいよ
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 いちいち反応が新鮮だな今日の妖怪リアクション女は……ローションをたっぷり浸した綿棒で球磨の耳の中をフキフキしながら、そんなことを考えた。

「んー……ッ……んー……ッ!!」

 なんだか普段の球磨にあるまじき反応をしてやがる。ここまでいつもと違うリアクションをされると正直少し心配になってくるが……

「大丈夫?」
「大丈夫だクマ……これきもちいクマ……ひやーってしてジーン……てしてきもちいクマ……んー……ッ」
「そいつはよかった」

 確かにこれ初めて使った時は、俺もその妙な刺激で昇天しかけたもんな……なんつーかこのひやーってしてピリピリ……ジーン……てする感触がたまらないんだよね。

 残った汚れをひと通り取ったところで右耳は終了、球磨、はんたーい。

「ま……まだあるクマ……?!」
「当たり前だ。まだ左耳を拭いてない」
「うう……了解だクマ……」

 なんだかヘトヘトでクタッとしている球磨の頭を持ち上げて無理やり反対側を向かせ、今度は左耳をローションで拭いてあげる。新品の綿棒をローションに浸し、その綿棒で左耳の残りの細かい耳垢をフキフキして差し上げる。

「んーッ……ジーンてするクマァ……んーっ……!」

 相変わらず身悶えしてる球磨に容赦無い仕打ちを加えていく俺。……て言っても単に耳をローションで拭いてあげてるだけなんだけど……ともあれ気持ちよさそうでなにより。

「ほい終わり。球磨、おつかれ〜」
「ク……クマ……」

 耳掃除中盤から妙に身体がこわばっていた球磨の全身から、ぷしゅーっと力が抜けていくのが分かった。全身がクタッとなるほどにこのローションは気持ちよかったらしい。

「や、ヤバかったクマ……うう……」

 俺の膝枕から頭をどかそうとせず、そのまま仰向けになって俺にそう答えてくれた球磨のほっぺたは、少し赤くなっていた。

「このローション、ヤバイだろ?」
「ヤバいクマ……恐るべき破壊力を秘めてたクマ……」
「んじゃ決まりだな。正式サービスってことで」
「こ……これはウソつけないクマね……」

 ウソ? なんのこっちゃ?

「べ、別に何でもないクマ……」

 そういって球磨は、俺から視線を逸らして口を尖らせていた。少々機嫌が悪そうにも見えるが、俺の膝から一向にどこうとしなかった。

 その後、夕食と入浴が済ませた後、隼鷹と川内の襲撃前に、綿棒と耳掃除用ローション、ついでに艦娘みんなの分の耳かきを追加発注しておいた。ローションは業務用のデカいやつを注文しておいたから、正式サービスとしてスタートしても、当面の間は問題ないはずだ。

「ひゃっはぁぁああああ!!! ハル〜!! 今晩も酒盛りしようぜぇえええ!!」
「ハルー!! やせーん!!!」


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