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鎮守府の床屋
前編
7.提督だったら……いいよ
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中で何か彼女たちが喜ぶサービスを提供出来ないだろうか……彼女たちは何を求めているのだろうか……そんなことを俺は最近、よく考えている。

――やせーん!!

 何をすれば艦娘のみんなが喜ぶかってことを考えている時に、川内のこのシャウトがすぐ思い浮かぶ辺り、俺の頭もだいぶこの鎮守府に毒されているみたいだ。夜戦のどこが床屋の仕事だこんちくしょう……

 いっそのことマッサージでもやっちゃるか? 球磨もけっこう肩凝ってたし、他の子も日々の戦いで体中疲れきってるだろうし……以前に働いてた店でマッサージは仕込まれてるから、腕には自信がある。

 でもさー……なんつーかこう……女の子をマッサージするって妙になまめかしいというか何というか……えっちいモノの見過ぎでしょうかじい様。

――えっちいクマッ!!

 なぜか球磨のそんな怒号が聞こえた気がして慌てて背後を振り返るが、俺の背後には球磨はおろか誰もいない。

 球磨で思い出した。そういや昨日、風呂上がりの球磨たちが……

『耳がぞわぞわするクマ。そろそろ耳掃除したいクマねぇ』
『あたしはまだ大丈夫かな。ちょこちょこやってるし〜』
『お姉ちゃんの耳もやって欲しいクマ……』
『ヤダよ自分でやんなよ……』

 こんなことを言っていた。ほーん……耳がぞわぞわ……耳掃除……ほーん……

 この時、俺の頭の中で豆電球が灯った。次の瞬間、提督さんの許可を得て、本日は非番のはずの球磨を呼び出した。

「……で、球磨を呼び出した理由は何クマ?」

 すさまじく機嫌が悪そうな球磨が、おれをジト目で睨みながらそう言う。なんでもあの丘で加古と一緒にうたた寝していたところを、呼びに来た提督さんにたたき起こされたらしい。

「新しいサービスを考えた。本格的に始める前に1回お前でテストしてみたいんだよ」
「つまり球磨は実験台てことクマ?」
「いえーす」
「却下だクマ」
「却下早くない?」
「実験台にされるのはゴメンだクマッ」

 球磨はそういってぷいっとそっぽを向いた。この前の顔剃りがそんなに気に食わんかったのか?

「べ、別に〜」

 口を尖らせたまま、少しほっぺたを染めて球磨がそうつぶやく。なんだこいつ? こんなキャラだったっけ?

「ところで何を考えてるクマ?」
「耳掃除」
「クマッ?!」

 お、アホ毛が反応したということは、少し食いついたな?

「いやさ、うちももうちょっとできるサービスを増やしていこうと思ってさ」
「なるほど」
「幸いなことに、俺は耳掃除がちょっと得意でな。自分用に耳掃除用ローションも使ってて……」
「話を続けるクマ」
「……あ、でもお前実験台はイヤなんだもんな。ごめんな……忘れてくれ……」
「続けろと言っているクマッ
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