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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
12.ツインドール
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 これからも、永遠に仲良しだと信じていた。

 友達――だったのに。



 絆とは、かくも脆く崩れ易いものなりけるか。



『裏切ったな………俺を裏切ったな!!俺を通してファミリアの内情を探って……タイミングを図ってたんだろ!!俺と「あいつ」の関係が崩壊するタイミングをせせら笑いながら待ってたんだろッ!!』

 違うの。わたしはそんなつもりでいつもお喋りしてたんじゃないの。
 ちょっとでも一緒にいたかったから、だから話題が欲しくて――神様にいわれるままに聞いただけなの。それがあんなにも悍ましい結末を導き出すと知っていれば、止めたにきまってるのに。

 でも、全ては言い訳。
 どのような過程を経ようが結果は一つしか残らなかった。
 残酷で、どうしようもなくて、血に塗れた最悪の結末だけがこの世に残った。

『お前が!お前のせいで全部奪われたんだよ!!俺が苦しんでた時にお前が何をしてたって!?人が魔物の餌になって芋虫みたいにダンジョンを這っていたときに、お前が何をしてくれた!?言ってみろよ………裏切り者じゃないって言うんなら!!』

 ご飯も喉を通らずに夜の街を駆けて助けを求めに行き、ギルド以外には門前払いを喰らい、必死で伝える事だけ伝えて、体力が尽きて寝かせられて――そして目を覚ましたら、わたしは取り返しのつかないことをしていた。
 善意と悪意、相反するはずの歯車が全て噛み合ったせいで発生した皺寄せは、守ろうとしたはずの友達にすべて降り注いだ。

 どうしようも、なかった。

『俺に二度と近づくな!!俺に一生口をきくな!!そうさ………間違いだったんだ!!最初から、人を信じることが間違ってたんだよッ!!馬鹿馬鹿しいお友達ごっこはもう満足しただろう!?なら、今日で終わりだッ!!』

 待って、と手を伸ばした。
 その手が届かないと、一生後悔するという確信があった。
 自らが愚かしい過ちを犯したことは子供心に分かっていても、それでも、隣に座って笑っているあなたが好きだったのは本当だったから。

『――俺に触るな!!』

 バチッ、と伸ばした手が振り払われる。
 貴方の、初めての明確な拒絶。
 初めての――決定的な――貴方とわたしの、心の乖離。

『裏切り者が気安く触るな!!信じない……俺はもう何も信じない。神も悪魔も法律も、絶対に信じるものか。俺は何一つ失ってないんだ。最初から全ては幻想……人も、立場も、心も、幻想なんだ……』

 何を言っていいのかも分からないまま、それでも物別れになるのが嫌で。
 違うの、違うの、と壊れた蓄音機のように何度も繰り返しながら。
 呼び止めて、無視されて。
 掴もうとして、振りほどかれて。
 それでも縋って、蹴り飛ばされて。

 大雨の
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