秋山 駿
第二章 交わる想い
Side story 花 助けてくれた男
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
助けてと叫んだって、誰も居ないのはわかってた。
だけど花ちゃんは、叫ばずにはいられなかった。
「助けてぇぇっ!!」
その言葉と同時に、ノックの音が鳴り止んだ。
叫んでいた男の声も止み、何やら揉めた声が代わりに聞こえる。
刹那、バキッと殴る音が響く。
肩を震わせ扉を凝視していると、再びノックが3回聞こえた。
先程のノックと違い、優しいノックだ。
青ざめた顔で扉に近寄り、鍵をそっと開ける。
だが花ちゃんが開ける前に、その扉が開けられた。
「えっ……?」
花ちゃんは目を丸くし、その男を凝視した。
汗だくになり、肩で息をしながら入口にもたれかかる男。
花ちゃんが驚くのも無理はない。
何故ならその男は、先程この場所で別れた人物だったのだ。
「谷村さん……?」
「こんばんは……まだいらしてたんですね」
相当急ぎで走ってきたのだろう。
谷村の足に力を感じなかった。
「どうして、こちらに?」
花ちゃんは慌てて水を渡し、受け取った谷村は一気に水を飲み干した。
「東城会が、秋山さんを捜してます」
「社長が……どうしてですか!?」
「秋山さんと東城会の6代目が接触していたのが幹部に知れ渡り、6代目の居場所を聞くために秋山さんを捜してるみたいっす」
6代目……。
前にスカイファイナンスに来ていた、堂島大吾を思い出す。
それがキッカケで秋山も追われていると、今はそう考えるしかなかった。
ふと谷村の後ろを見ると、スーツの男が倒れている。
花ちゃんの視線を感じたのか、谷村は倒れた男に向き直った。
「そいつは東城会の一派です。ここも危ない」
「じゃあ家に帰ります……」
「いや、秋山さんの関係者で花さんも狙われてる可能性があります。俺について来てください」
花ちゃんは慌てて支度をし、谷村と共にスカイファイナンスを出る。
「こっちです、神室町ヒルズに向かいます」
また無意識なのか、それとも故意なのか。
谷村は花ちゃんの手を握り、小走りで歩き出す。
そんな状況じゃないのはわかっているのに……。
花ちゃんの顔は、自然と真っ赤になっていた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ