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鎮守府の床屋
前編
6.戦後に向けて……職業調査
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の悪いスケキヨみたいになってるね」
「? スケキヨ?」

 髭剃りクリームから蒸しタオル、そしてダメ押しの髭剃りクリームという魅惑の3連続の心地いい感触に、球磨はすでに抵抗することなく昇天してしまったらしい。さっきから髪の毛の生えたスケキヨみたいに顔にクリームをてんこもりにされた状態のまま、まったく動かない。

「さて……んじゃやりますか」

 髭剃りを構え、それを球磨のほっぺに当てる。

「球磨の髭剃りするの?」
「さっきも言ったけど、女の人の場合は髭剃りっつーか顔剃りだね。顔の産毛を剃って一人前のレディーにしてあげるんだよ」
「一人前のレディー……!!」
「じゃあちょっと危ないから、剃りが終わるまで俺と球磨に触らないでね」
「わ……わかったわ……なぜなら一人前のレディーだから……!」

 とはいったものの、おれ女の人の顔剃りってしたことないんだよね……とりあえず髭剃りのときと同じ感じで、傷つけないように撫でてあげればいいかな。さっき触った感じだと、この妖怪ぷにぷに女はそんなに産毛も生えてないみたいだし……

 とはいえ、カミソリの刃を当てる瞬間は緊張する。一歩間違えただけで大怪我につながるからな。しかも相手は妖怪ぷにぷに女といえども女の子。顔に傷を付けるわけには行かない……つーか無理に球磨を実験台にしなくても、提督さんを呼べばそれでよかったような……? まぁいいか。いまさら言い出しても始まらん。

 球磨のほっぺたに刃を当て、首筋まで慎重に、かつスピーディーにカミソリを動かした、クリームがカミソリにこそげ取られ、同時に少ない球磨の産毛も剃れて……ないな。元々生えてないのか。羨ましいことだまったく……。

「クマ?」

 今の今まで熟睡してた球磨が目を覚ました。まためんどくさいタイミングで目を覚ます……俺は球磨が動き出すのをなんとかしたくて、球磨の頭を左手で抑え、目を真剣な眼差しで見つめて制止した。今動かれたら顔に傷がつく。いくら妖怪おっさん女といえども球磨は女の子だ。絶対に顔に傷を付けるわけには行かない。

「球磨、動くなよ。今お前の顔剃りをやってるからな。動いたら大怪我するぞ?」
「りょ、了解だ……クマ……」

 鼻が当たるぐらいの距離まで迫った真剣な表情の俺の雰囲気に呑まれたのか、球磨は意外にもすんなり俺の言うことを聞いた。そりそりしてる間中、ずっと俺の顔を伺ってたのが気になったけど……

「……」
「……」
「ク……クマ……」

 一応、真剣に球磨の顔の全面を顔剃りしてみたのだが、特に産毛は取れなかったようだ。クリームを全部こそげとった後、なんだかポヤンとしている球磨のほっぺたを再度触ってみたのだが、やはりすべすべぷにぷにしているものの、産毛みたいなのは生えてない。

「はい球
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