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鎮守府の床屋
前編
6.戦後に向けて……職業調査
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ゃ。このソファに座ると足の裏が痒くなる呪いにでもかかるのか? みんながいなくなってからちょっと座ってみるかな……

 シャンプーが終わったら川内の髪を乾かしてあげれば終了だ。俺は髪を乾かし終わった川内の両肩をポンと叩いてやり、カットの終了を伝えた。

「はい! おつかれさん!」
「ほっ!」

 『これでまた夜戦がバリバリ出来るぞぉお〜』と口走りながらバーバーちょもらんまを後にする川内。そしてそれを見送る俺達3人。いいねぇ。どんな内容であれ、俺のカットでごきげんになったお客さんが帰っていくのを見送る時間は、やりがいを感じるなぁ……。

「ねぇハル〜」
「ん?」
「床屋さんの仕事って、シャンプーして髪の毛切ってあげて、それだけ?」
「これだけってわけじゃないけどなぁ……」
「他には何かあるの?!」

 いつぞやの提督のように、好奇心の塊となった両目で俺を見つめてくる暁ちゃん。ここまでまっすぐでワクワクした瞳で見られたら、何か見せなきゃいけなくなるわけだが……

「っていってもなぁ……例えば髭剃りとか?」
「髭剃り? お客さんの髭を剃ってあげるの?」
「うん。でも基本、男にしかやってあげられないことだからねぇ……あ、ちょっと待て」
「?」

 俺は、散髪台の方を見た。つられて暁ちゃんも散髪台の方に顔を向ける。俺達の視線の先には、散髪台の横のキャリー付きワゴンの上に載せられているごつい霧吹きに興味津々の球磨がいる。

「? 何事クマ?」
「球磨、お前ちょっと実演台になれ」
「??」

 いまいち事情が飲み込めてない球磨を尻目に、俺は髭剃りの準備を進める。といっても球磨は女の子で髭が生えてるわけじゃないから、髭剃り実演っつーか顔剃りになるのかな? 準備するのは髭剃りクリームと、じい様の代から愛用している、こだわりの職人が作った愛用のカミソリだ。恐るべき切れ味とサリサリした感触が楽しめる、じい様とおれが惚れ込んだ至高の逸品だ。

「ちょっと待つクマ。球磨に何するクマ?」
「いいからちょっとソファ座って寝転んで待ってろ」
「これから球磨にひげそりするの?」
「そうだよ〜。実際にはヒゲというか顔剃りになるのかな?」
「嫌だクマァア!! ハルに襲われるクマぁあ!!」

 暴れる球磨を強引にシートに座らせ、顔中に熱々の髭剃りクリームを縫ってやる。

――ぺたぺた

「球磨がハルの……んー……毒牙に……んー……」

――ぺたぺた

「んー……熱々で気持ちいいクマ……」

 球磨が髭剃りクリームの心地よさに悶絶し身悶えしリラックスし始めた頃、リクライニングを限界まで倒して、クリームを縫った顔全体に熱々の蒸しタオルを置いてあげる。

「クマぁ……たまらん……クマァ……」

 髭剃りクリ
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