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鎮守府の床屋
前編
6.戦後に向けて……職業調査
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いんだが、以前のアホ毛処理失敗のことを考えると、少なくともあの妖怪アホ毛女以外の方がよさそうだ。俺の心が折れる場面は人には見せたくないしな。

 そんなことを考えていたら、件の暁ちゃんと球磨が店にやってきた。今日は勉強のためか、手提げバッグを持ってきている暁ちゃん。球磨はいつものように手ぶらだった。お前手荷物持ってきたことないよな……

「ハル! 一人前のレディーが来たわよ!!」
「来たクマ〜」
「はいどうぞ〜。いらっしゃいませ〜」
「今日はよろしくね!」

 なにやら小学校低学年の子が持っていてもおかしくないようなバッグの中からメモ帳と筆記用具を取り出し、俺のもとにやってくる暁ちゃん。いいねえ……この、結果はどうあれ頑張ろうという健気な心構え……引っ越し初日のことを思い出すなぁ……

「球磨だって初日は頑張ったクマ」
「お前は俺に向かって霧吹きしてただけじゃねーか今みたいにな」

 『そんなことはないクマ』とふてくされながら、果敢に俺の頭に霧吹きを吹きかけている妖怪霧吹き女。霧吹きの一体何がお前をそこまで駆り立てるんだよ……。

「それじゃハル、今日はよろしくお願いします!」
「ほいよろしく〜」
「それじゃあまず、床屋さんがどういう仕事なのか教えて!」

 む……いきなり中々難問な質問だ……なんつーかこういう漠然とした質問が一番答え辛かったりするんだ……ちゃんと答えなきゃいけないし……。

「えっと……床屋ってのは……」
「球磨のアホ毛が切れなくて、悔しさのあまりむせび泣くのが仕事だクマ。キリッ」
「お前は黙れよ」
「私と一緒に夜戦に付き合ってくれるのが仕事だとうれしいんだけどね!」
「お前も黙れ」
「? ??」
「あーごめんね暁ちゃん。混乱させちゃってるみたいだね……」

 とりあえず、暁ちゃんには『床屋さんは、お客さんの髪型を整えてあげるのが仕事だクマ』と答えておいた。ちなみに語尾のクマは球磨が勝手に付け加えていた。

 その後、その実演ということで、川内の髪を整えながら仕事内容の説明を行う。ある程度毛先を整えた後のシャンプーも、今日は暁ちゃんが隣にいる状態で行った。

「シャンプーの時は、お客さんにかゆいところがないか聞くんだよ」
「そういや暁の時も聞いてたわね!」
「かゆいところはないか川内〜?」
「右足の裏の……」
「却下!」
「だったら夜戦!!」

 相っ変わらず艦娘のやつらは意味わかんねえ……。普通シャンプー中にかゆいところ聞かれたら頭を答えるだろうに。なんでみんな揃いも揃って足の裏を答えるんだよ……。

「ここに寝転ぶとかゆくなるんだから仕方ないクマ」

 暁ちゃんと同じく、俺の隣でシャンプーを眺める球磨がこんなどうでもいいことを言いやがる。なんだそり
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