暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
前編
6.戦後に向けて……職業調査
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かったありがとう。ちょうど明日、暁はローテーションから外れてる。明日の午前中は暁をハルの店に寄越すから、そのつもりでいてくれ」
「了解です」
「それから、保護者兼手伝いとして球磨をつける。こき使ってくれて構わない」

 手伝いをつけてくれるのはありがたいのだが、なぜあの妖怪アホ毛女なのかが疑問だ……。

「あれ? 球磨と仲いいんじゃないの? 北上からそう聞いたからわざわざシフト変更したんだけど……」
「あの妖怪おさげ女め……根も葉もなく余計でどうでもいい間違ったことを……」

――ニヤリ

「まぁ何はともあれ、明日はよろしく頼む。特に特別なことはしなくていい。いつもどおりの床屋の仕事ぶりを、暁に見せてやってくれ」
「了解っす」

 それにしても、自分の働きっぷりを人に見せるだなんてなんだか緊張する。その日の夜は緊張して中々寝付くことが出来なかった。

 俺はかつて、自分のじい様が真摯な態度で自身の仕事に取り組み、真剣に客の髪を整えるその仕事っぷりを見て、一生を決めた。幼いながらに、俺は自分の天職を見つけたんだ。たとえじい様本人にその気はなかったとしても、だ。

 俺は明日、床屋としての自分の姿を、一人の子供に見せる。自分の人生の進路をまだ決めていない一人の純粋な可能性の塊である暁ちゃんに、床屋を代表して、床屋という仕事の生き方を見てもらうことになる。そしてそれは、彼女の人生を決定してしまうかもしれない行為なんだ。

 おれは、そんな重大なことに恥じない、立派な床屋だろうか。あの日、俺の人生を決定づけたじい様のような、素晴らしい床屋でいられているのだろうか……

「やせーん!!!」

 人が真剣に悩んでいるというのに……いつものように唐突に窓が開き、今日もその窓の向こう側では、川内がフラッシュライトのような眩しい満面の笑顔をしていた。

「ハル! 夜戦!! 今日こそ夜戦!!!」
「うるせえ川内!! 毎晩毎晩夜10時過ぎた頃に俺の家を襲撃するな!!!」

 そして翌日。睡眠不足の目をこすりながら俺が店を開けると、朝一番に川内がうちにやってきた。外が明るいうちから顔を見せるってどういう風の吹き回しだ。

「いらっしゃ……ぉお? 川内?」
「やぁハルおはよお〜!」
「川内が明るい内に顔を見せるだなんてめずらしいな」
「でしょ? 今日が暁の職業調査って聞いて。面白そうだから、散髪がてらそれを見学しようと思って」

 職業調査を見学とはこらまた妙な話になってきたな……

「いや、つっても何も出ないぞ?」
「いいじゃんいいじゃん。私にも見学させて? ね?」
「まぁいいんじゃないか? どうせ部外者の球磨もいるしな」

 暁に俺の仕事を見せるためには、散髪する対象がどうしても必要だ。球磨でもい
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