第5章
冥界合宿のヘルキャット
第101話 覚醒
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前がそう言ったんだろうが……?」
「ごめん、言い方が悪かったわ」
「……何……?」
「確かに恐怖心が原因って言ったけど、恐怖心が神器の力を阻害している訳じゃないぜ」
「……どう言う事だ?」
「恐怖心自体は問題じゃないんだよ。一番の問題はそれを否定している事だ」
「否定?」
「恐怖心を否定するって事は恐怖している自分を否定するって事だ。自分を否定する奴が強くなれる訳ねえだろ?」
それを聞いてハッとする!
アザゼルも副部長や塔城に言っていた。否定が弱くしていると。
自分の中にある物なのならそれは自分の一部。それの否定は自分の否定と同義。
自分を強くしたいのに、その自分を否定してたら本末転倒ってやつだ。
「そもそも、怖いって感情のどこが悪い事なんだ?」
「え?」
「怖いってのは人なら…いや、生物なら当然の感情だろ?怖いって感情が無かったら、今頃生物の大半が死滅してるぜ。ほら、群れで大きい塊になる小魚がいるだろ。あれだって自分達を襲う大魚が怖いからどうにかしようってした結果だろ。恐怖心があるから生き残る為に必死になれるんだ。本当は自分を脅かす存在なのに恐怖を感じなかったら、自分を脅かさないって認識しちまうからな。っとまあ、長々と語ったけど、何が言いたいかと言うと、恐怖を感じる事は恥ずべき事じゃねえって言いてえの。大事なのはその恐怖心に負けない事だ。勇気ってやつだな」
「………」
「冬夜だって、『賞金稼ぎ』になりたての頃はビビって震えてたぜ。で、俺が指摘するとこう返すんだ、「確かに怖いよ。でも、家族の為って思うと頑張りたいから」ってな」
兄貴。そんな事を思いながらやってきてたのか。
「さて。お前はレイドゥンが怖いか?」
「………ああ…怖えよ……」
あぁ、認めたらウソの様に動揺が消えたな。
って言うか、やけにすんなり受け入れてるな?
いや、少し前までの気持ちが先走ってた俺だったら意地でも否定してたな。
アザゼルはたぶん気付いてたんだろう。俺の恐怖心を。そして、それを否定している事も。だからああ言ったんだろう。自分で気付かせ、その事認めさせる為に。
だが、イッセーに諭されて気持ちを落ち着けられて、夜刀神竜胆の話と兄貴も怖かったと言う事実を知って、ようやく認められたんだろう。
「あいつとは戦いたくねえか?」
「ああ。戦いたくねえな」
「じゃあ、あいつがお前の大切な物に手を出そうとしていて傍観するか?戦える奴に任せて」
そんなの決まってるだろ。
「……寝言は寝て言え。そんな事できる訳ねえだろ……」
「へえ」
「大切な物が危険に晒されてるってのに、黙ってられる訳がねえだろ!」
ああ、認めた今、あいつが怖いよ
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