第5章
冥界合宿のヘルキャット
第101話 覚醒
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俺は修行の成果なのか、出力は上がったが、それは微々たる物だった。
正直、奴の言う様な出力は出せない。
「……買い被り過ぎだ。さっきので全力の出力だ……」
「ふーん」
奴は首を傾げながら注意深く俺を見る。
「一つ質問。お前、レイドゥンの事をどうしたいんだ?」
「……?言ったはずだ。奴から大切な物を…」
「守る為に倒すのか?」
「何……?」
俺は奴が何を言いたいの分からなかった。
「なるほどな。そう言う事か」
奴は何かを得心したのか、ウンウンと頷いていた。
「お前さぁ…」
奴は淡々と告げる。
「レイドゥンの事が怖いんだろ?」
「……な…に……?」
怖い?俺があいつを?
「……何を……?」
俺は何故か言いようの無い程動揺していた。
「さっきの攻防で疑問に思ったんだよ。俺の見立てだと、その緋色のオーラをもっと放出できると思ったんだよ。そうだなぁ、お前膝蹴りの時に一点集中させてたよな?あれを全身にやるなんて余裕なはずなんだよ。でもお前は圧倒的に少なく放出している。んで、神器と言えば、想いの強さが物を言う。そして想いは心の状態に起因する。そしてたぶん、お前のあいつへの恐怖心が原因で…」
「……出力が弱まってる……そう言いたいのか……?」
「そうそう」
「ふざけるな!俺はあいつに恐怖なんて…」
「だってお前、俺が大切な物を守る為にあいつを倒すのかって聞いたら、思いっきり疑問符浮かべてたろ?」
「っ!?」
「普通疑問に思うか?だってあいつを倒す事が一番確実だろ?」
「……俺とあいつとは…」
「実力差がありすぎるってか?だったらあそこは苦い顔をするはずだ。つまり、お前の中ではレイドゥンを倒すって概念が一切無い。それはあいつの事を避けてる。つまりあいつが怖いから戦いたくないって言う心が現れてる証拠なんだよ」
「っ!?」
違う。違う!違う!?俺はあいつの事なんて……!?
「スゲー動揺してるな。どうやら無意識の内に恐怖し、恐怖心を否定してたっぽいな」
「……無意識……?」
「たぶん本能的に恐怖を感じ、それを自覚する前にあいつと戦う為には恐怖心が邪魔になるって無意識に思って、気付かぬ内に否定した。そんな感じだろうな。で、指摘されてようやくあいつへの恐怖心を自覚してきたみたいだな」
「……ッ……」
ああ、そうか。俺はあいつが怖かったのか。
そして、その恐怖心が神器の力を阻害していたと。
アザゼルやおっさんが深層心理に原因があるって言うのは的を得ていたと言う訳か。
「なあ、もしかして、あいつへの恐怖心が神器の力を阻害しているなんて思ってるか?」
「……お
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