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鎮守府の床屋
前編
5.拉致。そして昼寝。
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る。

「あれ……球磨とハルじゃん……掃除終わったの……?」

 桜の木の影から、なんだか眠そうな声が聞こえてきた。この声は……妖怪ねぼすけ女の加古か!

「加古クマ? 姿が見えないと思ってたら、こんなとこでサボってたクマ?」
「まぁね〜……」

 桜の木陰から、実に眠そうな顔が出てきた。このキレイな黒髪が片目にかかった髪型の女は、やはり妖怪ねぼすけ女。お前もここでサボってたのかっ。

「うん。ここで寝るの好きなんだー。ふぁ〜……」

 加古は自身のサボりがバレたにも関わらず、実にのどかなあくびをし、再び桜の木の幹にもたれかかって眠りに入った。なんなの? ここの大掃除ってこんなにサボりが横行してるの? 一大行事じゃないの?

「ハルもちょっと寝転んでみたら? きもちいいよ〜」

 そうだな。どうせ後で戻るし、加古がそこまで昼寝場所として気に入るその気持ちよさも少し気になる……

「んじゃちょっとだけ寝転ばせてもらおうか。ちょっとだけ」
「はいはいどうぞ〜……クカー……」

 加古と同じく、桜の幹を枕にして寝転んでみる。確かにこの桜の木の幹、枕として絶妙な高さで頭を支えてくれる上、寝転んだ時に漂ってくる草の香りが心地いい。

「おおっ……これは……」
「……zzZZZZ」

 しかも日向の方にいるためか、お日様の光が身体に当たるのがぽかぽかとして心地よく、しかも顔はちょうど桜の木の影になって全く眩しくない。

「どんな感じだクマ?」
「やばいなこれ……昼寝スポットにちょうどいいぞ……」
「よし。球磨もちょっと寝転んで見るクマ!」

 ついに球磨も衝動を抑えきれなくなったようだ。球磨は俺の隣にやってくると……

「クマッ!」
「がふぉッ?!」

 何を思ったのか、俺の腹を枕にして寝転びやがった。しかも勢い良く倒れこんできたから、コークスクリューパンチほどではないが結構な衝撃が俺の腹に襲いかかった。

「ぉおおお!! 確かに気持ちいいクマ!!」
「キモチイイのは分かったから……その、俺の腹にダメージを与えていくのはやめろッ」
「ぉおおお!! ハルの声が腹を通して頭に直接響くクマ……!!」
「つーかなんで俺の腹なんだよっ……お前も木を枕にしろよ……」
「木の幹よりもハルの腹の方が球磨にはちょうどいい枕だクマっ」

 だめだこの女……言ってる意味がさっぱり分からん……あーでもお日様の光でぽかぽかして妙に気持ちいい……なんだかうとうとしてきた……ヤバイこのままでは寝ちまう……球磨、起きるぞ。

「スー……スー……」

 ヤバい……この妖怪アホ毛女……もう熟睡したのか……ヤバい……起きなきゃ……。

 俺は渾身の力を込めて起きようとするが、もはやお日様の温かさと球磨の頭
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