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逆襲のアムロ
29話 ギレンの遺産 2.21 
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を止めた。そしてマ・クベは鋭い視線でフロンタルを見据えた。

「私やキシリア様、一介の統治者クラスの傑物は時代の異質感を感じ取っていた。長い戦争の中で多大な犠牲を人類は強いられながらも、とてつもない進化を遂げている」

「・・・なんでしょうか?それは」

「貴公も良く知っているサイコミュの実用化と進化だ。貴公の前に必ず立ち憚るであろう。貴公もまたそれを乗り越えなければ野望など叶わぬ夢想だ」

フロンタルはその場でマ・クベの答えを考えていた。
自分は自分の大願成就の為に技術提供を惜しまなかった。そのお蔭で願いも間近に迫ったが、自分への脅威については余りに無関心だった。

「・・・あのモビルスーツ。あんなのがこの先出てくるとなると厄介だ」

シャリアの覚醒により、シナンジュが損傷した。その時の力はフロンタルを驚愕させた。
人の意思力は凄まじいものだと実感した。

マ・クベもその映像を見ていた。フロンタルが危うく撃墜されそうになった。
その事実が確かに存在する限り、パンドラボックスとフロンタルに死角があった。

マ・クベは目を伏して一人語っていた。

「結局、ギレン総帥もキシリア様も貴公には勝てなかった。ギレン総帥に殺されたキシリア様はギレン総帥より下だからな。人心掌握の最たるギレン閣下が負の思念体である貴公に敗北した。その理由は統治者で解決できる問題ではないからだ」

マ・クベは傍にある椅子にそっと腰を下ろした。

「さて、マーサのことを手伝うにしても貴公と同行となると人類が滅ぶな」

フロンタルはマ・クベは事態を悟っていることを自覚した。そして敢えて質問を投げかけた。

「では、どうするかね?」

「無論見届けるつもりだ。ここはもう誰もいないからな。ただし・・・」

「ただし?」

「この実験体達を連れていく。貴公の素体は無理としても他は使えるからな」

マ・クベは資料を漁り始めた。フロンタルはそれ以上は聞かなかった。
何かあろうが返す刀で屠れば良い、そう思っていた。ゼウスとそのシステムをフロンタルが掌握するまではフロンタルと言えどマ・クベを粛正する気はなかった。マーサの不興を買う恐れがある。それでは計画が延びてしまう。

ゼウスを構築するように促すに至る道筋を付けたのも、フロンタルによる数々の張り巡らした糸が引っかかった成果だった。この時代のこの戦争に生きる野心多き亡者たちに餌を与えることで、たまたまギレンが食いついた。マーサをいう不幸な女を輿に乗せて、順調に行っていたがここにきて予想外だったのが、自身の体だった。体を騙すにも限度がある。

シロッコは使命感持って行動を移していることは聞いていた。それに間に合うように動くことができれば自身の大願も叶うと思っていた。コインの出目
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