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FAIRYTAIL転生伝 〜 黒き魔王は妖精と共に 〜
第六話『エルザの決意』
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理矢理仕事をさせられ、そしてそれに失敗すると暴力を振るわれるこの理不尽な状況に。



それから助け出してくれたのが、ユウト・ベラトリックスだった。




ユウトは突然現れたかと思うと神官のムチからエルザをかばい、その神官を口で黙らせエルザを折檻から救い出した。


エルザは目の前で起きた出来事に最初はなにが起こったのかわからなかった。信じられなかったのだこの楽園の塔で誰かが自分を助けてくれるなんて。


彼女はこのとき、この楽園の塔に来てからまだ一週間だったが、その間、彼女を助けてくれる者はだれもおらず、気に掛ける者もだれもいなかった。皆自分のことに精いっぱいで見知らぬ少女に構っていられなかったから当然といえば当然だろう。


少女もそれが当然だと心の中では理解していたからこそ、ユウトが自分を助けてくれたことに心の底から驚いたのだ。


ユウトはエルザを自分の仲間に招いてからもなにかと彼女のことにいろいろ気を配ってくれた。仕事の仕方を丁寧に教えてくれたり、自分ひとりで運べない貨物を運ぶのを手伝ってくれたり、落ち込んでいるときはよく励ましたり、おもしろい話をして楽しい気持ちにさせてくれたり。


ユウトにとってもなんでもなかったことかもしれない。しかし絶望に心をむしばまれ、荒んでいた少女にとって、そのユウトの優しさはとても温かく、心にしみていった。


それからエルザはユウトのことを常に目で追うようになっていた。


仕事をしているユウト、汗を拭いているユウト、不機嫌なユウト、笑っているユウト、眠っているユウト、食事をしているユウト。そうやってユウトのことをこっそりと観察しているうちに、エルザはユウトがどういう人間かわかってきた。


ユウトはジェラールのようにリーダーシップをとるような人間ではなく、一歩後ろから皆のことを見守ってくれている、ジェラールが皆を導く太陽ならば、皆を安心させるような月のような存在。それがエルザからみたユウト・ベラトリックスという人間だった。


エルザはそんなユウトのことをみているうちにあることに気がついた。


彼を見るたびに自分の胸が締め付けられるようなそんな痛みを感じることに。





エルザはいつの間にか惹かれていたのだ。ユウト・ベラトリックスという少年に。


少女を襲っているのはそんなユウトの危機になにもできない自分への失望。それだけだった。


(なんて・・・私は無力なんだろう・・・・・)



と、そこでエルザは誰かのすすり泣くような声に気づく。

見ると自分の仲間の一人であるショウが目から涙を流しはじめていた。



「ぐす・・・もうやだ・・もうこんなトコやだぁああっ!!!」




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