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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第221話 凍える闘志
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ウキにまで接近して、その口にポーションを捩じ込んだ。
「……っんぐっっ!? しの、むぐぅっ!!」
シノンに口の中に突っ込まれたリュウキ。
勿論、リュウキはこればかりは予見できなかった様だった。
予見は出来ないものの、何処か
既視感
(
デジャビュ
)
を感じていた。自分自身は体験していない。『……確か、キリトが、アスナに……』 と、一瞬考えてしまったが、直ぐに冷静に戻る。
「私が、あのデカいの引きつけておくから。全体の支援宜しく」
そう言って、駆け出していくシノン。山猫を思わせるその素早さは、あっという間に前衛達に追いついた。
そして、スリュムは先程の一撃で全滅していない事を確認すると、更に不快感を増した。
「むぬうゥん!! 猪口才な、小虫共が!! 今度こそ、その羽全てもぎ取って、磔てやるぞぉぉ!!!」
解放された両の手が伸びる。
その大きな手、長い腕は 少し動くだけで この場の全員に攻撃範囲が及ぶのだろう事は直ぐに判った。
そして、誰を狙っているのかも……。
「トドメを刺し……ッ!?」
最後の一言を発する前に、炎を纏った何かが、その髭面に直撃。ボ、ボォンッ!! と言う爆裂音と共に、完全に声をキャンセルした。
「し、シノンっ……!?」
すり抜けていく、シノンを見て、キリトは思わず声をかけたが、シノンは止まる事なく突き進む。
それは、スリュムの完全に間合い。
「ぐ、ぬ……!!!」
髭に炎が燃え移るのを見たスリュムは、青筋をたて、その冷気の拳で 炎を消失させると。
「ヌゥぅぅぅんっ!!!!」
シノンの数倍はあろう手で、シノンめがけて叩きつけた。
先程の
踏み付け
(
ストンプ
)
から発生させた衝撃波、《ナミング・インパクト》スキルと言う訳では無い様で、追加攻撃は発生しなかった。
シノンは、それを余裕を持って躱すと、その叩きつけた手の甲に乗った。
「……一体、誰を、狙ってんのよ……!!」
それは、氷の
狙撃手
(
スナイパー
)
でもある彼女に火をつける結果だった。
この世界とは違う、別の戦場で背中を預けた戦友に、刃を向けられた。護ってもらった身体に刃を向けられた。 シノンのその凍える闘志が、スリュムの 霜の巨人族にも負けない冷徹な怒りが矢に宿る。
「この……! 無礼者がぁ!!!」
手に乗ったシノンを振り落とそうと、その手を挙げ、もう一方の手でなぎ払う。
だが、それも余裕でシノンは躱した。怒りはあっても、頭の中は冷静そのもの。……だからこそ、凍える闘志なのだ。
「(攻撃は予想以上に早い。……でも、
あの時
(
・・・
)
のリュウキ程じゃない……! 回避しまくって、何発でも入れてやるわ……
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