「プロローグ」
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「はい」
私は返事をして直ぐに客間へと向かった。
〜???Said〜
ーーーーー体が痛い。
ーーーー何故だ?
ーーーーわからない。
ーーーーそもそも、俺は誰だ?
「………ん……グッ、こ、ここは?」
「目が覚めたのか、君」
すぐ隣から、声が聞こえる。
俺は体をおこそうとするが、痛みが全身を巡って起き上がれない。
「無理しないでいい。あれだけの怪我をしていたんだ。今は寝ながら答えてくれ」
隣にいるであろう男がそう言う。
「まず、君の名前は?」
ーーーーー名前。
ーーーーーー□□ 士。
「……士」
「士君か。では、名字は何ていうんだい?」
ーーーーー名字?
ーーーーーわからない。
頭の中を通りすぎる、“わからない”という言葉。
「……わからない」
「……わからない?………君のご家族は?」
ーーーーー家族。
ーーーーー生きてくれ、□□□。
誰のことなんだ?
「…わからない」
「……これは記憶喪失の可能性があるな」
「………記憶喪失」
俺がそう言うと、襖の開く音が聞こえた。
「お父様、その人は大丈夫なんですか?」
「ん、あぁ。……丁度良い。翼、少しこっちに来なさい」
男が翼と呼んだ少女が、俺の近くに来た。
「士君。……家の養子にならないか?」
「……養子?」
「……君のご家族と記憶が戻るまででもいい。それまで私を士くんの父親だと思ってくれると嬉しい」
「……俺の…家族。………記憶」
何もわからない。
でも、家族という言葉に何故か心が温かくなる。
「……養子になる」
気がつけばそう言っていた。
「そうか。……ところで士君、君の年齢はわかるかい?」
「………9歳?」
「9歳か。それなら、君はこの子の義兄だな」
「………?」
男がそう言って、先程入ってきた少女を指さした。
「あぁ、すまない。この子は翼。風鳴翼というんだ。歳は7歳で君の2つしたなんだよ」
「翼。彼は今日から君の義兄になる、士君だ」
「この人が、私のお義兄ちゃん?」
「っ!」
ーーーー士お兄ちゃん
頭のなかで誰かにそう呼ばれた。
「どうかしたのか?士君」
「………妹」
「あぁ、翼は今日から士君の妹だ」
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