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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十 〜激突〜
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んなところで死にたくねぇ」
「……そうか」

 先頭にいた男に、私はずかずかと近寄る。

「な、何をするんだ!」
「士道不覚悟。よって、この手で始末してやる」

 兼定を抜き、構える。

「ひ、ひいっ! く、くそったれっ!」

 半ば自棄気味にかかってくる男。
 ……相手の実力も見えぬ、か。
 ただ振り回すだけの太刀筋など、全く恐るるに足らず。
 そのまま、袈裟斬りにした。

「な、な……ん……」

 男は倒れ伏し、草が朱に染まっていく。

「さて、お前達はどうするのだ? この男と同じ道を歩むのなら同じ場所へ送って遣わす」

 兼定を突きつける。

「……こ、こうなりゃ、やってやる! なぁ?」
「お、応っ!」

 後ずさりした男達は、一目散に敵陣へと向かっていった。

「主! 忝い!」
「気にするな。……む、敵の動きが変わったようだな」

 両翼の乱れが、中央にも波及したようだな。
 明らかに、敵は浮き足立っている。

「今だ! 張遼、星!」
「よっしゃ!」
「行くぞ、皆の者!」

 突撃していく二人を見送りながら、兼定に血振りをくれた。

「誰か」
「はっ」

 控えていた、伝令の兵が近寄ってくる。

「愛紗と鈴々にも伝えよ。もはや勝敗は決した。一気に敵を叩け、とな」
「ははっ!」

 喧噪が、徐々に遠ざかっていく。
 ……相手も善戦したが、所詮は賊軍。
 いや、我が軍が優れている、と言うべきか。



 馬蹄の音が、近づいてきた。
 呂布が一騎で、こちらに向かってくる。
 ……脇に何か、抱えているようだが。

「どうした?」
「……捕まえた。敵の、軍師」
「ほう」

 見れば、まだ子供のようだが。

「死んでいるのか?」
「……(フルフル)」
「そうか」

 皆が戻ってから、問い質してみるとするか。
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