第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十 〜激突〜
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厚にするか」
そう、鋒矢の陣は突破力こそあるが、その分、中央を備えられると、動きが止まってしまう。
その間に、包囲されれば各個撃破される上、後方の兵が遊兵と化す。
「どうやら、敵には軍師がいると見て良いな」
「……どうする?」
呂布は、相変わらず無表情だ。
「このまま、敵に悟られぬよう待機だ。合戦が始まったら、合図する」
「……わかった」
「土方様! 張遼将軍と趙雲殿が、敵陣に突入を始めました!」
伝令が、息を切らせて駆け込んできた。
「そうか。敵の動きは、逐次知らせよ」
「ははっ!」
張遼は異名に違わず、見事な突破力を見せているようだ。
それに、星もいるのだ、容易には崩れまい。
「敵、包囲を始めました!」
「……よし。呂布、お前は敵の右翼に襲いかかれ。とにかく、存分に暴れればそれでいい」
「……それだけ?」
「そうだ。ただし、あまり深追いはするな。適度に引き上げるのだ」
「……ん。行く」
呂布なら、大丈夫だろう。
「前衛はどうか?」
「はっ! 張遼将軍、趙雲殿、共に敵の包囲を弾き返しており、奮戦中!」
となると……そうだな。
「賈駆と華雄に伝えよ。一部を前衛の支援に残し、左翼の撹乱に当たれと。賈駆にはそれで十分の筈だ」
「ははっ!」
これで、打つ手は全て打った。
「董卓殿。拙者、前衛の様子を見て参りまする」
「え? ですが、土方さんはここで指揮を執っている方が」
「拙者が出す指示は、これで全てでござる。それに、参謀長が前線に立ってはならぬ、そんな決まりはありませぬ。ご案じめさるな」
「……わかりました。土方さんの判断にお任せします。ただ、無茶はなさらないで下さいね」
心から気遣ってくれているのだろう。
……本当に、これがあの董卓だとは思えぬな。
「怯むな! 敵は数は多くとも烏合の衆!」
「せや! ウチらさえ崩れへんかったら、この戦、勝ちやで!」
星と張遼、それぞれに声を張り上げて勇戦の最中。
張遼の麾下は流石に猛者揃い、機動力を活かして敵を蹂躙している。
……星の方は、やはり義勇兵と元賊が主体だけあり、やや及び腰か。
「だ、ダメだ! 囲まれちまう!」
「ええい、怯むなと言ったであろう!」
敵を槍で貫きながら、星が兵を叱咤する。
「い、命あっての物種だ! に、逃げろ!」
……だが、数名の兵が、敵に怯えて逃亡を始めてしまった。
「待て」
すかさず、私はその前に立ち塞がる。
「どこへ行く? まだ、戦闘は終わっておらぬぞ」
「ど、どけ!」
「どけぬな。貴様らのような者がいては、全軍の士気に関わる。今すぐ持ち場に戻れ」
「い、いやだ! こ
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