第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十 〜激突〜
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、星と風には一応、釘を刺しておいた方がよかろう……さもなくば、鈴々に要らぬ事を吹き込む可能性がある。
取り越し苦労で済めば、それでも構わぬし、な。
「では、全軍。出立!」
「応っ!」
董卓・丁原連合軍に、我が義勇軍、併せて三万五千。
兵としての選抜には漏れたが、どうしても同行を望む者が増えたため、彼らには輜重隊を任せる事とした。
古来より、補給は兎角軽視されがち。
だがその結果、勝てる戦を落とした将は数知れぬ。
我が軍もこれだけの人数ともなれば、戦闘部隊とは切り離した一隊が必要であろう。
これは、稟と風にも諮ったが、全くの一致を見た。
今のところは董卓軍の輜重隊が運んでくれているが、いつまでも彼らと同行できる訳ではない。
それよりも、今のうちから独自に動ける体制を整えておいた方が良い。
……それに降伏したとは言え、一時は賊に身を落とした者共だ。
放免したはいいが、再び賊に戻る可能性もあり得る。
それならば同行させておいた方が、人々に要らぬ迷惑をかける恐れがない。
「それにしても、ご主人様の懐の深さには驚かされますね」
と、愛紗。
「そう思うか?」
「はい。……私など、あの廖化でさえ信じるに足りるのか、それすらも半信半疑でしたから」
「だが、黄巾党と言えども、根からの悪人など一握りであろう。使える者は使う、と割り切れば良いのだ」
「それにしても、お兄さんは常に合理的な判断をされますよねー」
「風もそう思うか? 時々、歳三様には軍師など不要なのでは、と思ってしまう事もあります」
「いや、私とて完璧ではない。武では三人には敵わぬし、智は二人に劣る。なればこそ、皆を頼りにしているのだ」
「にゃはは♪ 難しい事はぜーんぶ、お兄ちゃんにお任せなのだ。その分、お兄ちゃんは鈴々が守るのだ」
「その通りだ。ご主人様には指一本触れさせん」
「ああ。主の前に立ち塞がる者は、皆この槍で打ち払ってみせようぞ」
「うむ、頼むぞ。稟と風も、私に遠慮は無用だ。誤りと思えば直ちに申せ」
「御意!」
「了解ですよー」
皆、頼もしき事だ。
私も、道を誤らぬようにせねば……な。
進軍する事、五日。
そろそろ、敵と邂逅する頃、と見ていると、
「前方、二十里に敵影を確認!」
斥候から知らせが入った。
「……ふむ。紛れもなく、黄巾党のようだな」
双眼鏡で見れば、視界さえ良好ならば一目瞭然。
いかに遠目が利く者が多いとは申せ、流石にこれには勝てぬだろう。
「よし、全軍停止。董卓軍と丁原軍はどうだ?」
「ハッ! 我が軍の動きを見て、進軍を停止した模様です」
「ならば良い。この事を、両軍に伝えよ」
「ははっ!」
伝令が
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