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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#30 見捨てられない想い
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族の温もりは得られたから、強く思う。……だけど、そんなこと、ティアが判っていないとは到底おもえない。いや、重々に分かっていると感じるのだ。
――……もし、ヴァンには、自分達が知らない
何か
(
・・
)
を 隠しているとしたら……?
全てを知らないのは当然だろう。仲間内であっても、ジェイドにしても ガイにしても、ティアにしても……、隠し事をしないなんて事は有り得ないだろう。それが様々な意味での防衛の手段にもなるから。……情報が武器である事も、少なからず判っているから。
だけど、当たり前だと思っても、……そんな中でも ヴァンの中に
何か
(
・・
)
を感じた
だが、これ以上今は考察している時じゃないだろう。考える事は、目の前で起こっている事だ。
「導師イオン! お願いします! どうか導師様のお力で隊長を助けてください! 隊長は、今年の生誕
予言
(
スコア
)
でも大きな災いは取り除かれると言われてました。それで、隊長は安心していました」
「お願いします! 隊長をどうか!」
攫われた整備士の部下だろう、その2人が部屋に入ってきて、頭を下げていた。
『助けてください』と。
誰かに涙ながらに懇願される。……そう言われたらイオンがとる行動はひとつしかない。彼であればとる行動は。
「判りました」
断るなんて事、出来る訳がないんだ。イオンの性格を考えたら。とてもお節介で向こう見ずな所があるけれど、純粋で何よりも真っ直ぐなんだ。
イオンの言葉を訊いて、整備士の2人は笑顔を見せる事が出来ていた。安堵感に包まれている様子だった。その素顔を見るだけでも 心が軽くなる、と言うものだ。
イオンの判断を効いたジェイドは一歩前に出た。
「……よろしいのですか?」
イオンに最終確認をしていたのだ。大体どういう行動に出るのか、ジェイドも判っていた様だけれど、ヴァンの言う事も正しい故に、念押しをしたのだ。
「アリエッタと話をして、人質を解放してくれるよう説得してみます」
イオンの意思は変わらなかった。
そんなイオンに賛同する者達も、勿論いる。イオンだからこそ、だ。
「もちろん、オレはイオンに賛成、同行するよ。」
「私も同行します」
賛同したのは、アルとティア。
「アルは兎も角、
冷血女
(
ティア
)
が珍しい事言ってら」
ルークが胡散臭そうな目でティアを見ていた。恐らくだが、ティアに助けられた事が多い筈なのに、ルークは、まだヴァンを襲ったことを根に思っているのだろう。ヴァンと再会して、それが色濃く出たのだと思える。
ティアは、別に気にした様子もなく、答えた。
「大きな災いは取り除かれると言う
予言
(
スコア
)
を受けた者を見殺しにしたら、
予言
(
スコア
)
を無視したこと
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