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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#30 見捨てられない想い
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源であろう場所には、火の手が上がっていた。
「あれは!!」
ヴァンが、場所を特定したと同時に 皆走って向かっていった。
「あれは、絶対ただ事じゃない………っ」
燃え上がる建物を見て、アルはそう呟いた。単純な事故、にしては規模が大きいから。まるで、強大な爆発系の譜術を使ったかの様な感覚だったから。
ただならぬ雰囲気は全員が感じ取っていた様で、臨戦態勢で港へ入っていった。
爆発現場は見るも無残な姿だった。
周囲には、倒れた兵士がおり、そして 乗組員達も。……燃え上がる港と船、そして 恐らくは爆発の影響で、海にまで飛ばされた兵士達が、懸命に泳ぎ 更に 助けたりしている。
「くっ…… 先回りされていましたか!」
ジェイドが惨状を見るとそう判断した。一般人をも巻き込みかねない。いや、乗組員の皆は一般人だ。だから十分に巻き込んでいる。……そんな過激な事をする連中は 他に知らない。
「あいつらか……っ!!」
アルは、結論を出しつつ、怪我人の手当に向かっていた。
「しっかりっ! ……ん」
容態を確認すると同時に、アルは治癒術を使った。
全身に火傷を負っており、更に裂傷も多数ある。命には別状はなさそうだが、それでも 危ない状態といえばそうだ。
「おい! しっかりしろ! 一体誰が……」
ガイも、倒れている兵士をおこし何があったのか、と兵士達に訊いていた。
あまりの事で、ショック症状が出ているのか、上手く口がまわらない様子だったが、それでも懸命に口に出した。
「ま……、 魔物が…… 突然、襲ってきて………」
兵士がそう呟くと殆ど同時に。空を翔るモンスター《グリフィン》が飛び込んできた。
その背には、誰かが乗っている。
「あれは…… 確か、タルタロスにいた……」
ルークは、その顔を見て確認した。
「! 本当だ! 確か……あの子はっ」
アルも同様だ。人間の敵とも言っていいライガの群れを操り、更に無数のモンスターを操る
魔物使い
(
ビーストテイマー
)
。
「根暗ッタ!! 何でこんなことをするの!!」
微妙に間違えている名前の使い方をするアニスだったが、それで完全に思い出す事が出来た。
アニスの言葉が癇に障ったのか、グリフィンの上に立った少女は声を張り上げる。
「アリエッタ 根暗じゃないモン! アニスのイジワルッッ!!」
そう、彼女は六神将が1人。
《妖獣のアリエッタ》である。
「うん、思い出した…… あの時、ライガといた女のコだ」
アルは、怪我人に最低限度の治癒術を掛け終えた。
まだまだ、完全快復には程遠いが、それでも少し歩く程度であれば、問題ない筈だ。
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