第二章
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「やっぱり、じゃない」
「成功させないとね」
「交際までいかないと」
「当たって砕けろかっていうと」
「そうでもないわね」
「そうよ、当たって砕けろなんてね」
それこそというのだ。
「そうはいかないわ」
「だから成功させる」
「絶対によね」
「ましてやその人は多分私のことを殆ど知らないし」
アンネリは知っていてもだ、彼女にその自覚はあった。
「それで告白してもね」
「何っ、ってなるわよね」
「いきなり告白されても」
「私だっていきなり告白されたら困るし」
「私もね」
友人達もここで言う、自分がいきなり知らない相手に告白されたらどうなってしまうかということをだ。
「それはあんたがしても同じだし」
「告白っていってもね」
「いきなりしても成功しないから」
「そこも難しいのよね」
「知らない人なんて石よ」
アンネリはこうも言った。
「石に告白されてもね」
「驚くだけでね」
「それで受け入れてもらえるか」
「やっぱりそうはいかない」
「そういうことよね」
「だからどうしたらいいかしら」
「そうね、まずはね」
友人達は考えてだ、まずは。
それぞれ話をしてだった、そのうえで。
話が終わってからだった、皆でアンネリに言った。
「商店街の傍にある銀行だし」
「商店街の何かを上手に使う？」
「それで何とかね」
「その銀行員の人に注目してもらう」
「そうしてもらう？」
「そうね」
友人達に言われてだった、アンネリは。
腕を組みそのうえで深く考えてだ、こう言った。
「ちょっと奇抜にいこうかしら」
「奇抜？」
「奇抜っていうと？」
「そう、奇抜だけれど相手に気付かれずにね」
そして、というのだ。
「注目される」
「その銀行員の人に」
「そうしてもらえる」
「そんなアイディア思い付いたの」
「こんなのでどうかしら」
アンネリは友人達にそのアイディアを話した、すると。
友人達は鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔になってだ、それぞれ言った。
「それはまたね」
「奇抜ね」
「けれどそれならね」
「確かに相手にも意識されるわね」
「それも確実に」
「さりげなくでも」
それでもと言うのだった。
「まずは種蒔きだとも思うし」
「恋愛もね」
「何もないところからははじまらない」
「それでなのね」
「まずはそうして種を蒔いて」
「それからなのね」
「そう、やってみるわ」
こう友人達に言うのだった。
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