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第二章

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「今日もね」
「全くな」
 チームの旗を持ちユニフォームを着た姿でだ、シャルルは項垂れつつ家に入ってだ、ミレディーに話した。
「これでまた最下位決定だよ」
「今年もなのね」
「目出度く六年連続だよ」
「それはまたかなりね」
「俺が覚えてる限りでもな」
 ファンになってからだ。
「半分は最下位だったな」
「三十年で十五年ね」
「もっと多いかもな、とにかく今年もな」
「最下位なのね」
「しょうがねえな」
 ぼやくことしきりだった、まさに。
「本当に」
「負け癖ついてるのね」
「癖なんてものじゃないな」
 それこそとだ、彼はリビングに入ってからも言った。
「もう負けることがいつもだよ」
「癖どころじゃなくて」
「日常だよ」
 それになっているのだ、まさに。
「困ったことだな」
「それ前の試合の時も言ってたわね」
「次負けたら最下位決定だってな」
「そうよね」
「観客席凄かったぜ」
 その試合のこともだ、彼は妻に話した。
「もうがらがらでな」
「こっち側はそうなのね」
「いる連中もどうせ負けるとか言ったりカップルでいちゃいちゃしていたりもの食ったり飲んだりだよ」
 試合以外のことでというのだ。
「そういうのに夢中でな」
「何かどうしようもない状況ね」
「暗いわね」
「俺は立って旗振って応援してたよ」
「けれど他の人はなのね」
「いなかったな」
 彼程熱心に応援している者はというのだ。
「相手は勝てば優勝だからな」
「向こうは満席だったのね」
「賑やかだったぜ、革命記念日みたいにな」
「そこまで凄かったのね」
「けれどこっち側はだよ」
「がらがらで」
「本拠地なのにな」
 それでもだったというのだ。
「そんな有様だったよ」
「暗い話ね」
「やれやれだ、試合内容も酷かったしな」
「五対零だったのよね」
「どんなのだ、ベテランは衰えてて若手は育ってなくて怪我人も多い」
「監督の采配もよね」
「相変わらずだしな」
 つまり悪いというのだ。
「本当にまずいな」
「ううん、明るい話ないわね」
「これは来年も駄目だよ」
 妻が出したビールの缶を開けながらだ、彼はこうも言った。
「最下位だよ」
「もう来年の話をするの」
「駄目か?」
「去年も言ってたらよね、最下位になった時に」
「そうだったな、とにかくな」
「来年もなのね」
「ここまで明るい要素がないとそうなるよ」
 ビールを飲みながら言う、その彼にだった。
 ミレディーはここでは少し厳しい顔になってだ、シャルルに注意した。
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