第一章
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ヴィーナス誕生
教科書で読んだ、最初はそうだった。
小学校の授業で読んだ教科書を読んでだ、僕は授業の後で皆に言った。
「おい、裸かよ」
「凄いな」
「胸は見えていないけれど」
「こんな絵あるんだな」
子供ながらにだ、裸を見て騒いでいた。ボッティチェリが描いたヴィーナスの誕生という作品のタイトルは頭に入っていなかった。
とにかくだ、この時の僕達は。
裸のことばかり言っていた、とにかく子供ながらにそうだった。
けれどこの時はこれで終わって。僕は中学に入ると。
同じ区にいた一年上の先輩にだ、こう声をかけられた。
「美術部に入らないか?」
「美術部ですか?」
「実は俺美術部でな」
「それで、ですか」
「御前もどうだ?」
かなり露骨な勧誘だった。
「美術部な」
「暴力とかないですよね」
「ないない、皆仲いいよ」
先輩は僕にすぐにこう返した。
「嫌なら辞めていいしな」
「嫌ならですか」
「楽しかったら続けろ」
その美術部をというのだ。
「だから一回な」
「仮入部でもですか」
「入ってみろよ」
「ううん、嫌なら辞めてもですか」
「いいからな」
「わかりました、それじゃあ」
こうしてだった、僕は先輩に勧誘されてだ。
美術部に入ってみた、そうしてだった。
美術部の部室に入るとだ、先輩の言う通りだった。
皆和やかで平和だった、よく体育会系の部活にいる様な悪質な顧問の先生も先輩もいなかった。部員の数は多くはなかったけれど。
僕は数日仮入部してみてだ、先輩に言った。
「まだ何日か仮入部しているだけですけれど」
「それでもだよな」
「はい、いい雰囲気の部活ですね」
「先生は優しいしな」
「先輩達もですね」
「いい人だからな。まあ結局部活はな」
先輩は僕にこんなことも話した。
「人次第なんだよ」
「人次第ですか」
「幾らいいことをする部活でもな」
「いる人が悪いとですね」
「その部活って悪くなるからな」
「そういうものなんですね」
「そうだよ、けれどな」
この美術部はとだ、先輩は僕に話してくれた。
「この美術部は皆いい人だからな」
「いい部活なんですね」
「しかも紅茶もコーヒーも飲めるぜ」
「それはいいですね」
紅茶、コーヒーと聞いてだ。僕も言った。
「じゃあそっちも楽しめますね」
「ああ、自分達で持って来て飲むんだよ」
「じゃあ僕も持って来ていいですね」
「紅茶かコーヒーをな」
「わかりました、それじゃあ」
「正式入部するか?」
「前向きに考えさせてもらいます」
こうしてだった、僕は美術部に正式に入部した。同級生も皆いい人だった。僕はその中で絵を描いたり色々作ったりした。
その
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