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鎮守府の床屋
前編
3.賑やかな人たち
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 よわッ!

「黙れクマッ!!」

 よく見るとほんのりほっぺたの赤い球磨の張り手を再度避けて、3人を店内に招き入れ、居住スペースに案内する。さすがに店の中で酒盛りさせるわけには行かない。

 居住スペースでテーブルを中心に適当なとこに座ってもらったら、隼鷹と俺が酒を飲む用のコップを出し、球磨にはオレンジジュースを出してやった。つまみは……とりあえず裂きイカでも出すか。

「北上はどうする?」
「私も今日はジュースでいいかな」
「はいよっ」
「ありがとハル」
「球磨に酒をのまさんとは何様だクマっ」
「お前はもうダメだっ。オレンジジュースで我慢しとけっ」
「んじゃ、あたしとハルでさし向かいってとこだねぇ」
「いやいや球磨たちがおるやん。さし向かいちゃいますやん」
「クマァ〜……」

 悔しそうな球磨を尻目に、隼鷹が自分とおれのコップに日本酒を注ぐ。そして……

「では……バーバーちょもらんまの開店に……」
「「「かんぱーい!!」」だクマー!!」

 と4人でコップを鳴らそうとした瞬間だった。

「やせーん!!」

 そんな不穏な掛け声と共に窓が『ガターン!!』という音と共に勢い良く開き、べっぴんな女の子がフラッシュライトのような笑顔を浮かべながら窓から侵入してきた。

「誰だお前ッ?!」
「ぉお〜、川内も来たのか〜。夜戦がてら一杯やるか〜?」

 中々に艶っぽい表情を浮かべながら、隼鷹がそうつぶやく。そうか。この夜にあるまじき賑やかさと眩しい笑顔の女の子はセンダイって名前か。

「隼鷹! 夜戦なら私も呼んでよッ!」
「いや、夜戦じゃないんだけどね〜」
「まぁいいや。ねえ床屋さん! 名前は?!」
「ん? ハルでいいよ」
「んじゃハル!!」

 この妖怪賑やかフラッシュ女は自分の靴をポイと外に投げ捨てると、どすどすと俺の目の前まで来て、俺の両肩にどすんと手を起き、めちゃくちゃ眩しい笑顔で俺を見た。

「夜は好き?!」
「……はぁ……夜ですか?」

 あまりに唐突で意味不明な質問に対し、つい反射的に敬語で返事してしまった今の俺を呪いたい……。

「川内は夜戦が好きなんだよねー」

 球磨の横でコップに入ったオレンジジュースをくぴくぴと飲む北上がそうつぶやく。夜戦ってなんだ夜の戦い?

「そう夜戦!! いいよねえ〜夜戦……ハルもそう思うでしょ?」
「いやすんません。マジわけわかんないっす」

 わけわかんねえっすマジで。なんか気持ちがげんなりしてきた……確かにここはいいところだけど……ねぇ艦娘ってこんなんばっかなの? 善良な子なんて北上と暁ちゃんぐらいで、他の子はどこかしら変じゃない?

「黙れクマぁ〜……」

 三発目の球磨の張り手が来ると思
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