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鎮守府の床屋
前編
3.賑やかな人たち
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たね〜」

 殴られたっつーか確実に殺しにかかってたけどな。この妖怪コークスクリュー女は。

「あれは早く言わないハルが悪いクマっ。球磨はハルの小賢しい罠にハメられたんだクマっ」
「まぁ〜いい加減ご飯食べに行こうよ。球磨姉もそろそろハルの髪の毛で遊ぶのやめたら?」
「そうだ言ってやれ言ってやれ。無理やり俺の頭に自分譲りのアホ毛を作ろうとするんじゃないっ」
「クマっ」

 自身の妹にすら制止されたためか、球磨は素直に俺の頭にアホ毛を作り上げるのを諦め、俺達を先導するように店を出て行った。

 俺はというと、球磨ではなく北上を待たせるのは悪いがさすがにびしょ濡れの髪のままでは具合が悪いということで、頭にタオルを巻いて北上と共に店を出た。店を出た途端……

「おそいクマッ!」

 と球磨から盛大に頭を左に張り倒されたことを報告しておく。

 食堂で提督さんの料理に舌鼓を打った後は大浴場で今日の疲れを癒やし、今日の仕事は全て終了。おんぼろ貧乏鎮守府ではあるのだが浴場だけは設備がしっかりしており、男女別に分かれた温泉で疲れを取ることが出来る。足を伸ばして風呂に入ることが、どれだけ贅沢なことか……ちなみに男湯と女湯は天井がつながっており、両方の会話が筒抜けだ。昔の銭湯と同じスタイルってわけだ。じい様によく連れて行ってもらったなぁ〜……

『球磨姉〜。せっけん取って〜』
『了解だクマ〜……あれ? 見当たらないクマ……ハルー?』
「お? どした〜?」
『せっけんが手元にないからこっちに一個投げて欲しいクマー』
「あいよー。今投げるからなー」

 せっけんみたいな固い固形物を投げるのは危険なような気もするが……まぁあいつらは戦闘経験豊富だし、うまくキャッチするだろう。俺は手元にある据え置きのせっけんを、女湯の方に向かって全力で投げてやった。投げられたせっけんは勢いよく敷居を飛び越え、女湯の方に消えていく。

『あだッ?! 変なところに投げるなクマッ!!』
「どうした〜?」
『ハルの投げ方が下手くそだから変なとこに当たったクマッ!!』

 ……変な所……ゴクリ……

「そいつは悪かった。怪我したんならちゃんと薬塗っとけよ」
『アホ毛なら怪我はないから大丈夫だクマ』
「張り倒すぞお前?!!」
『クマクマッ』

 クソッ……やつのアホ毛はそう遠くないうちに処分しなければ……

 風呂から上がると、女湯の入り口のところで球磨と北上がラムネを持って待っていてくれた。女湯の方には冷蔵庫でキンキンに冷やしたラムネが置いてあるそうだ。あれだけ艦娘のことを大切にしている提督さんなら、多少施設に回す金を割いてでも、それぐらいのサービスはするだろうなぁ……

「ほいハルの分。せっけんのお礼も兼ねて」
「おっ。さん
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