第二十四話:対決・紅の姫騎士(上)
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御袋に目を向ければ、苦笑いしながら頷き、エプロンを結び終える。
「ほら、ハムエッグ作っちゃうから食卓に座って? 手と顔も洗って来なさい」
「ほいほーい、了解ママ」
「……ハムエッグ、楽しみ」
「まて」
洗面台へ向かおうとする二人……厳密にはマリスへ向け、俺は注意を投げかけるべく口を開く。
「今日も大食いは禁止だ、ぶっ倒れるまで食うなよマリス」
「……麟斗の意地悪……陰険」
「ねー、ホント兄ちゃんて超々陰険白髪不良だよねー」
「なら腹一杯食って無様に殺されて来い……とでも言いながら許可されたいか?」
「……反論できない」
あと楓子。
白髪言うのは止めろっつってんだろうが……自分でも気にしていると何かい言えばいい。
自分とてデコがどうだの胸がどうだのと指摘されればムカつく癖に、つくづくおかしな奴だ。
……無論、ユーモアではなく頭の方でな。
今日も今日とて決闘やシリアスな空気の自覚がないこの二人に、俺は目を細め内心で頭を抱えた。
一体俺は今後何度、頭を抱えればいいのだろうか。
そも、自分の保身を第一に考えていた筈なのに、此処までの決闘に巻き込まれている事を思い出し、俺は言いだした傍から頭を抱えるのだった。
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天王山、ハイキング場。
名前の仰々しさとは裏腹に、山の標高はそこそこの位置に収まり、だだっ広いという事を除けば普通の原っぱでしかない。
無論整備などされていないため草は伸び放題で、広場の中央近くにすら木々が疎らに乱立している。
遊具などは勿論なく、上気通り手入れが行き届いていないため、正直ハイキング場としても好条件な場所だとは言い難い。
そんな辺鄙にも程がある場所で、ロザリンドは静かに瞑目し佇み、時を待っていた。
見える場所にはまだ彼女一人しか居らず、その一人も閑散としたこの場の空気に身を任せているかのように、何も言わず立ち続けている。
「……」
炎―――――否、鮮血を思わせる赤い髪が風に靡き、木の葉の揺れる音だけが辺りに響く。
頑として喋らず、それどころか動こうとする気配もない。
何故なのか……彼女から見れば誰の目が向けられている訳でもないというに、仁王立ちして背筋を伸ばした姿勢を頑として崩さない。
待つ意外とんとに目的の無いだろうこのハイキング場で、演劇部だったからか異様なまでに様になった姿をただ晒し続けている。
己の状況と様に酔うナルシストなのか、それともこれから始まる決闘に対して、最弱相手だろうともかなり真剣になっ
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