暁 〜小説投稿サイト〜
少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第二十四話:対決・紅の姫騎士(上)
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
事を好むマリスにとっては、この上ない位に。

「そうだな」
「! ……麟斗……」

 ポン、とマリスの肩を軽く叩いて、俺なりに適度な緊張を持てるよう促してやる。
 彼女は振り向き、数秒間見つめた後やがて、確かな想いをこめ頷いた。

 俺は、自分ですら久しぶりにも程がある……と感じている笑顔を小さく浮かべ、御袋をの方へ顔を向けて腕を下げたまま拳を握った。
 俺もまた―――決意を強く、胸に抱いて。

「約束だ、必ず勝って帰る。だから御袋、言わずもがなだろうが今夜の鍋よろ―――」



「ダーメーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 ……その握り締めた決意の拳を思い切り振り上げて、タックルをぶちかましてきやがった楓子を跳ね上げる。

「おげっ!?」
「スゥー……セァアアッ!!」

 更にそこから横へ大きく反って、上・中段へ両拳を思い切り突き刺す【山突き】で思い切りぶっ飛ばす。

「おごぶげェええぇぇぇええええぇぇっ!! ……っておぼぼおおぉぉぉおぉぉ!?」
「……楓子へ、クリーンヒット」

 最後は落下しざまに座卓の角ですねを、身を(よじ)った途端今度は後頭部を打って、楓子(デコ助)は計五か所の痛みに悶え転げ回っていた。
 マリスは一昨日のゲームでも思いだしたか、ぼそり呟いていた。 

 まあ今はそんな事、大して重要じゃあ無い。

「おい阿呆、一体何のつもりだ?」
「に、兄ちゃん酷ひ……」

 問題はコイツが何故タックルぶちかましてきやがったのか、と言う所だからな。
 耳煩い喚き声のオマケ付きで。
 それに酷いだと? ……酷い気分になったのはこっちの方だ、ド阿呆が。

 雑言を叩きつけてから少しの間楓子は蹲っていたものの、すぐに電光石火で立ち上がった。

「そんな約束しちゃだめだよ兄ちゃん! 鍋をつつくとか約束しちゃ絶対ダメ!!」
「……はぁ?」
「まさか兄ちゃん知らないの? 知らないからそんな平和ボケした事言えるの?」

 平和ボケも何も前の世界と言いこの世界と言い、生まれた時代が平和そのものだったから、第一ボケるも何もねぇんだが……。

 そして言い回しが地味にムカつくのは何故だ。

「俺、この戦いが終わったら鍋をつつくんだ…………とか、それは死亡フラグって言う一番立てちゃいけない物なんだよ……!?」
「知るか。現実とフィクションを混同は飽き飽きだ」
「死亡フラグを舐めているとあなた、死にますよ?」
「黙れインチキ宣教師“モドキ”」
「……死亡フラグ……恐ろしい……」
「お前までボケかますんじゃあねぇ、マリス」

 もう埒が明かない。
 それはもう、まだ理由に説明が付きそうだった御袋の時よりも、ざっと八割増で。

 付き合ってられないと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ