第二十四話:対決・紅の姫騎士(上)
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暑苦しくてウザい。
良い事が何一つない……そもそも何で俺に抱きついて寝てやがるんだ、こいつは。
流石に殴る訳にも行かず、押し戻そうとしたり引き上げようとしたり、様々な手段を一所懸命講じてみるのだが、いっそ嫌がらせか何かとばかりにテコでも動こうとしない。
……つーか気持ち良さそうに寝てんじゃねぇ、いい加減起きろ。
てか上から退きやがれ。
そう内心で毒づきながらも、あれこれ試して悪戦苦闘しながら、遂に引き剥がせる一歩手前まで到達できた。
よし、頑張りが実ったか。
これで後は一旦抱き上げて、隣に放り出しておけば無問題――――
「朝から盛んねぇ、麟斗」
「……!?」
―――聞き慣れた声がいきなり聞こえた事に俺は目を見開いて驚き、ゆっくりを顔を向ける。
今の出入り口である、襖の方へ《嫌な予感》が当たらない様なが居つつも、息を吐き出して目線を傾けて……今この時の居て、一番居て欲しくない人物である、俺の御袋・吉岡優子が其処に佇んでいた。
お……お袋、だとっ……!?
い、何時の間に返ってきやがった……!? そもそも何時から見ていた……!?
嫌な予感が、外れくれなかった―――何時も何時も何故なんだ、クソッたれ……!
「ウフフフ」
ヤバい。
コレは猛烈にヤバい。
ラブコメ一色の脳を持つ御袋の事だ、次に出てくる言葉は絶対に、絶対にアレしかない……!
「アンタの事見なおしたわ、麟斗……それじゃあ、後は若者だけで―――ごゆっくり?」
「違う」
ほらな、またも当たった。嬉しくねぇ。
放っておけば親父に近所に拡散し続け、碌でもない結果になることは目に見えている。そんな事は御免こうむりたい。
だから何とか誤解を解こうと、マリスを力技で強引に跳ねのけて(最初からこうすれば良かった)御袋に置いすがり、焦りを殺しながら弁解すべく口を開く。
「俺は何もやってねぇんだ、御袋」
「大丈夫よ? お母さん理解あるんだから、その辺は心配しないで」
「いや肝心な部分を理解していない!」
「もう、赤ちゃんが出来たとか聞いてないでしょ? アンタのラブコメ脳信じてるんだから……最終回まで引き延ばすのが一番よね」
「信用して欲しいのは其処じゃない……!」
「あらあらしまったわ、御赤飯炊いてないわー」
「それは微妙に違うだろうが……」
キャッチボールの成り立たない会話にウンザリする頃には、もう既に台所まで着いてしまっている。
もう反論する気力もうせてしまい、怒鳴り声も段々と失速し、俺は朝一番なのに既にどっと疲れて閉口した。
「……御赤飯は、おいしい?」
「う〜ん、余り美味しいとは言えないかもねぇ。あくまで御祝い事の際に炊くモノのだから。代わりに朝ご飯に
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