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八神家の養父切嗣
二十六話:道標
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「これって……確か収束魔法」
「そう。今日の練習でみんなが使った魔力を掻き集めて一つの塊にする。分かっていると思うけど今の私はほとんど自分の魔力を使っていない。まあ、私が訓練で出した魔力は使わせてもらっているけどね」

 なのはは戦闘の後半で自身が使用した魔力を再利用するためにあらかじめ収束しやすい形で放出している。これをやるのとやらないとでは大きな差が生まれるが、何も他の魔導士の魔力が使えないわけではない。しっかりと他人が使った分まで吸収しズルいとでも言えるレベルでの巨大な魔力の塊を生み出す。

「この集めた魔力を使って砲撃を―――放つ!」
『Starlight Breaker.』

 本人とレイジングハートからすれば十分軽め、だがティアナからすれば度肝を抜くような極太の桃色の柱が空に向けて撃ち出される。しばらく撃ち出された先にある空をポカンとした表情で眺めていたティアナであったがハッと我に返る。あれを自分に見せてくれたということは理由は一つ。自分にあれを習得してみせろということに他ならない。

「……あれが私にもできるんですか?」
「収束魔法はその名の通り魔力の収束、それと放出を上手く出来ればね。ティアナは凄く器用だからちゃんと練習すればできるよ。まあ、そのためには基礎を今以上に固めないといけないんだけどね。体への負担も結構重たいし」
「あんなに凄いのが?」

 今の今まで自分には特別なことはできないのではないかと思っていたティアナ。しかし、あれだけの攻撃が撃てるようになると言われれば、それこそそんな気持ちは吹き飛ばされてしまう。まさに切り札と呼んでもいい代物だ。魔力切れを起こしていても一発逆転を狙えるカード。戦術の切り札、エースオブエースの名に恥じぬ強力な技だ。だからこそ、ティアナの心に小さな怯えが現れる。

「スターライト・ブレイカーは私とレイジングハートが考えたとっておきの魔法なんだよ」
「えっと……そんなものを私なんかが教わってもいいんですか?」
「勿論。ティアナと私は同じポジションなんだし、それに……ティアナに覚えてもらえると私も嬉しいかな」

 そう言ってはにかむ様に笑って見せたなのはの顔にティアナは思わずドキリとする。普段の教官としての顔とは違う少女のような顔に不意を突かれたのだ。そんなティアナの心情を知ってか知らずかなのははゆっくりと歩み寄っていく。

「ティアナは自分のことを才能が無いって思ってるかもしれないけど全然そんなことはないんだよ。隊長陣のみんなもティアナの能力の高さを認めてるんだよ。勿論、私もね」
「……あ、ありがとう……ございます」
「それに、ティアナを教えられたら嬉しいなって思ってスカウトしなんだしね」

 ティアナは掠れた声で礼を言うが、脳が固まっていた。彼女は
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