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八神家の養父切嗣
二十六話:道標
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「つまり、一番大きな欠点から埋めていけってことですか?」
「そうだよ。それで、ティアナ自身は何を埋めればいいと思う?」

 改めて問い直されてティアナは熟考する。自分にとって足りず、今ここでどうにかしておかなければ後々に影響が及びそうなもの。そう難しく考えるが中々答えは出てこない。そこで一旦視点を変えて自分が日頃どんなことに苦しみを感じているかを考えてみる。射撃の命中率は特別悪いわけではない。

 ポジション取りなどはまだまだ甘いがそこは普段の訓練でやっているので加えるものではない。そうなってくると自分に足りないものは魔力量だ。恐らくフォワード陣の中では一番低いだろう。今はカートリッジで誤魔化しているが連戦続きなどになればもろに響いてくる。これに対する対処法をいくつか身につけておいても損はないはずだ。

「魔力が少なくてもどうにかして戦える技術が足りないと思います。私は魔力量も多くないので」
「そうだね。カートリッジにも限りがあるし、使い過ぎは体にも良くない。それでも戦わないといけない時にどうするのか」

 ティアナ自身も考えてみるが中々思い浮かばない。そもそも魔力量は天性のものだ。増やそうと思えばそれこそ外法を用いた手術でもしなければダメだろう。そしてそんなものはいくら強くなれると言われてもお断りの代物だ。つまり現状としては打つ手が無い、というのがティアナの考えだった。しかし、なのはの方は違っていた。何か名案でも思い浮かんだのか、悩む教え子の様子が面白いのかニコニコと笑っている。ティアナもこれ以上は考えても仕方がないと思い、なのはに尋ねる。

「あの、何か方法はないんですか?」
「あるよ。私のとっておきのが一つね」
「それって、一体?」
「それは……午後のチーム戦が終わってから教えてあげる。終わったころにはきっと準備も整っているだろうから」

 そう言って悪戯っぽく笑って見せるなのはに何も言えずにティアナは頷く。この時は思いもしなかった。まさか、自分があれほどの技を教えてもらえるようになるとは。

 そうして時は流れ午後の訓練も終わり、フォワード陣は全員がまるでゾンビのようにフラフラと整列し、あいさつを終えて解散となった。だが、ティアナだけは居残り訓練と称してなのはと共に訓練場に残る。一体何をするのだろうかとティアナが見つめる中、なのははあたりを見回し納得したように頷く。

「よし、これだけあれば十分かな。ティアナ、そこで良く見ててね」
「はい」

 いよいよ始まると思い、真剣な眼差しをなのはに向ける。視線を向けられるなのはだが特に緊張した様子もなく桃色の魔方陣を展開し、その中心に魔力を溜めていく。ここに来てティアナは周りの魔力、正確に言えば自分達が訓練の際に放出した魔力の残りが集まっていくことに気づく。
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